2015年10月22日(木)
主張
新閣僚への疑惑
国民の厳しい批判甘く見るな
10月初めの内閣改造で就任した安倍晋三政権の新閣僚から、「政治とカネ」にかかわる疑惑が噴出しています。後援会員に顔写真入りのカレンダーを配った、国から補助金をもらう企業や談合で指名停止を受けていた企業から政治献金をもらったなど、あいまいに済ませていい問題ではありません。法にふれるとは思わないとか、発覚したあと献金は返したなどと弁解するだけでなく、国民に真実を明らかにすることこそ政治家としての最低限の責任です。新閣僚の疑惑は昨年の改造後も問題になっており、閣僚の任命権者である安倍首相は責任を果たすべきです。
10人中3人の新閣僚が
内閣改造から2週間足らず、あらたに就任した10人の閣僚(初入閣は9人)のうち3人から「政治とカネ」にかかわる疑惑が噴出しているのは決して少ない数ではありません。しかもその中身も、問題ないなどと突っ張ればそれでいいというものではありません。
沖縄北方担当相に就任した島尻安伊子参院議員の疑惑は、名前と顔写真が入ったカレンダーを選挙区内で配布、インターネットのホームページでほしい方は連絡をと呼びかけていました。国会議員の選挙区内での寄付は、公職選挙法で禁じられています。選挙にかかわって寄付などを行えば、より罪が重い買収の罪にも問われます。
実際、昨年の内閣改造後相次いだ新閣僚の「政治とカネ」の疑惑では、法務大臣に就任した松島みどり衆院議員が選挙区内で似顔絵の入った「うちわ」を配ったと指摘され、松島氏は罪には問われなかったものの、閣僚を辞任しました。後援会の観劇会費用などで政治資金収支報告書の虚偽記載が指摘された小渕優子経済産業相とともに「ダブル辞任」したのは1年前の10月20日でした。
松島氏の「うちわ」に比べ、島尻氏の「カレンダー」は罪が軽いなどとは決していえません。島尻氏は疑惑解明のため、まず自ら公の場で事実を明らかにし、そのうえで責任を明確にすべきです。小渕氏のように閣僚を辞任しただけで、1年近くにわたって何も説明せず、記者会見したのは元秘書などの有罪が決まった後1年もたってからとはあまりに遅すぎます。
「政治とカネ」をめぐる疑惑が明らかになった3人の新閣僚のうち、森山裕農林水産相は自ら代表を務める自由民主党の選挙区支部が談合に関与し指名停止を受けた業者から3年間に690万円の献金を受け取っていたというものです。もう1人の馳浩文部科学相は同じく自らが代表を務める自民党の支部が国から補助金交付の通知を受けた企業から29万円の献金を受け取っていました。
いずれも政治家個人への企業献金が禁止されていることの抜け穴を使った献金です。森山氏は発覚後返還し、馳氏は寄付制限に該当しないとしていますが、国民にまともに説明しようとする姿勢はありません。あまりに無責任です。
臨時国会開き徹底追及を
国から補助金をもらっている企業からの献金では2月に西川公也農水相が辞任しています。森山、馳氏もあいまいにできません。
本人が説明責任を果たすとともに、内閣の責任での疑惑解明と、国会での追及が不可欠です。臨時国会の開会に応じない安倍政権の責任は、この面でも重大です。