2015年10月19日(月)
韓国 歴史教科書国定化
学者ら執筆拒否相次ぐ
10代学生にも反対広がる
韓国教育省が12日、教師や父母、学者などの反対を押し切り、中学・高校の歴史教科書を「国定化」すると発表したことに対し、教科書を執筆する歴史学者らが執筆拒否を表明するなど、批判が相次いでいます。
韓国メディアによると、延世大、高麗大、慶熙大、梨花女子大、全南大などの大学教授が執筆・制作拒否を表明しています。
延世大では史学科の全教授13人が13日、連名で声明を発表。朴槿恵(パク・クネ)大統領の父である故朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が「40年前に断行した国定教科書一本化が再現されようとしている」と指摘。「編集過程には参加しない」としています。
ソウル市立大、成均館大、中央大、韓国外国語大教授の29人も声明を出し、「制作に関連したいかなる過程にも参加しない」と宣言。「歴史教科書の国定化は国家権力が自分の必要に応じて歴史を独占することができる危険性を内包しており、民主主義社会では容認されない」と反対の理由を述べています。約500人の会員を擁する韓国近現代史学会も、執筆不参加を表明しました。
10代の学生たちの間にも反対運動が広がっています。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを通じて自発的に生まれた「韓国史国定教科書に反対する青少年行動」は、フェイスブックやカカオトークなどでオンライン署名を呼び掛けています。
17日には、ソウル市内で抗議行動を実施。「青少年は国定教科書で学ぶことを拒否する」などと書いた横断幕を掲げ、ソウル市内を行進しました。
国定教科書は「国史編さん委員会」が編集を担当。11月初めに執筆者の募集を始めることになっていますが、確保できるかは不透明です。
民間世論調査機関は16日、朴大統領の支持率が前週より4ポイント下落し、43%になったと発表。支持しない理由は国定教科書問題が14%で1位でした。
(栗原千鶴)