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2015年10月17日(土)

米軍 アフガン撤退せず

オバマ氏方針見直し 17年以降も5500人

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 【ワシントン=島田峰隆】オバマ米大統領は15日、ホワイトハウスで記者会見し、アフガニスタン駐留米軍を2016年末に大使館の警備要員を除いて撤退させるとしていた計画を見直し、同大統領の任期が終わる17年以降も5500人規模の米兵を駐留させると発表しました。


 アフガンには現在、約9800人の米軍が駐留しています。オバマ氏は17年1月の任期末までに、2001年の米同時多発テロ以降続く駐留を終わらせると公約していました。しかし治安がいっこうに改善しないことを受けて、断念した形です。

 新たな計画によると、16年中も9800人規模の米兵を維持し、17年には5500人が残留。削減の具体的時期は、現場の司令官らと協議して決めるとしています。また米軍は、首都カブールと首都北郊のバグラム空軍基地、東部のジャララバード、南部のカンダハルにも拠点を維持し、アフガン治安部隊の訓練やテロ掃討作戦を続けるといいます。

 オバマ氏は「アフガン治安部隊はまだ十分に強力でない」「主要地域の治安状況は非常に不安定で、悪化する危険のある場所もある」と指摘。「駐留の延長が事態を変えられる」とし、「米本土でのテロ予防にもなる」と強調しました。

 オバマ氏は14年5月、大使館の警備要員など約1000人を除いて16年末までに米軍を撤退させると発表。今年3月にアフガンのガニ大統領と会談した際には、16年末までの完全撤退の計画は変えないとしつつ、約1万人規模の米軍を今年末まで維持すると述べていました。

解説

治安悪化、出口見えず

 オバマ米政権がアフガニスタン駐留米軍の撤退計画の見直しを発表した背景には、治安悪化への懸念に加えて、アフガンで過激組織ISの影響力が拡大していることで“出口戦略”が描けないことがあります。

 アフガンでは、反政府勢力タリバンの攻勢が続いています。国連によると、現在は2001年以降のどの時点よりも広い地域に勢力を広げています。先月末から今月初めには、タリバンは北部の要衝クンドゥズを一時制圧しました。イラクやシリアで勢力を広げるISは、アフガンの一部に浸透しつつあると伝えられます。

 こうした状況を受けて、米軍や議会の一部からは撤退計画の見直しを求める声が強まっていました。アフガニスタン駐留米軍のキャンベル司令官は8日、下院の公聴会で「アフガンでのたたかいが今後数年で終わると考えるなら間違いだ。イスラム武装勢力の影響を弱めるためにあらゆることに備えなければならない」と述べました。

 米メディアによると、タリバンは15日、「駐留外国軍を追放するまで戦闘を続ける」と表明。オバマ大統領の言うように駐留延長が事態の改善につながるかは不透明です。

 米国の戦争史上最長の14年を経た戦争がさらに長引くことは、米国民にも重い負担になります。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、新たな計画には、当初の計画の約1・5倍にあたる約146億ドル(約1兆7千億円)が毎年必要になります。

 オバマ氏は「多くの人がこの紛争に疲れ果てていることを知っている。終わりのない戦争は支持しないが、いっそうの努力が必要だ」と理解を求めざるを得ませんでした。(ワシントン=島田峰隆)


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