2015年10月8日(木)
暴走継続に未来ない
戦争法推進の閣僚留任
「未来へ挑戦する内閣だ」――。国民から「暴走政治NO」、「安倍政権退陣」の声がかつてない規模で上がる中、安倍晋三首相は7日の記者会見で、同日の内閣改造についてこう説明しました。戦争法強行の先頭に立った中谷元・防衛相や岸田文雄外相ら19人中9人の主要閣僚を留任させるなど、「未来」のない“暴走継続”の布陣を示しました。
安倍首相は記者会見で、戦争法については「着実な施行に万全を期す」などと一言ふれただけ。「地方創生」や“目玉”として担当相ポストを新設した「1億総活躍」を持ち出し、戦争法への批判をそらそうとする姿勢が表れました。
逃 げ
戦争法という重大な違憲立法によって立憲主義、民主主義、法の支配という国の存立の土台を根底から覆す暴挙に踏み出した安倍内閣は、その内閣の正当性そのものが問われています。多数の国民の批判に対し、“逃げ”の態度に終始しました。
留任大臣が担当する分野は、どれも国民多数が反対するものばかりです。環太平洋連携協定(TPP)の「大筋合意」を導いた甘利明経済再生相、労働法制と社会保障の大改悪を進めた塩崎恭久厚労相、沖縄県名護市への米軍新基地建設で強権的な姿勢を見せる菅義偉官房長官、消費税率10%への引き上げを狙う麻生太郎財務相・副総理―。原発再稼働や憲法改悪などへ突き進む姿勢にも変わりありません。
TPPの「大筋合意」にJAなど各界から大きな怒りと批判が巻き起こる中、安倍首相が「地方の農業者の不安に寄り添う」と持ち上げて農林水産相に選んだのは、自民党のTPP対策委員長の森山裕氏です。森山氏は当初、「日本の国益に反するTPP交渉参加には断固反対」(2012年総選挙)と交渉参加そのものに反対したものの、その後、交渉参加を前提として「TPP交渉で日本の国益と農林水産業を守り抜く」(昨年12月総選挙)と姿勢を後退させました。
沖縄北方担当相の島尻安伊子氏も辺野古新基地「反対」の選挙公約を覆した揚げ句に「(反対運動は)責任のない市民運動」と攻撃しました。
退 陣
「政治とカネ」の問題をめぐっても、派遣業界との癒着がある丸川珠代氏が環境相として入閣しました。安倍内閣のもとではこれまで政治資金規正法違反の企業献金などに起因して“辞任劇”が相次ぎました。
こうした戦後最悪の暴政の一方で、かつてない新しい国民運動が呼び起こされ、日本の政治の新しい前途を開く可能性が生まれています。いま国民が求めているのは「改造」ではなく、一日も早い安倍政権の退陣です。
(中川亮)