2015年10月6日(火)
ノーベル賞 医学生理学賞に大村氏
寄生虫病の新たな治療法 開発
スウェーデンのカロリンスカ研究所は5日、2015年のノーベル医学生理学賞を大村智(さとし)北里大学特別栄誉教授ら3氏に授与すると発表しました。大村氏の受賞理由は「寄生虫の感染症に対する新たな治療法の開発」です。
大村氏は、1975年に静岡県伊東市の土壌から採取された新種の放線菌から抗生物質の「エバーメクチン」を発見しました。エバーメクチンをもとに開発された「イベルメクチン」は、アフリカや中南米の風土病で失明の原因となる「オンコセルカ症」を引き起こす線虫に有効であることがわかりました。
大村氏とともに受賞したのは、米ドルー大学のウィリアム・キャンベル栄誉リサーチフェローと中国中医科学院のトゥー・ユーユー(屠呦呦)教授。キャンベル栄誉リサーチフェローの受賞理由は大村特別栄誉教授と同じで、大村博士が発見した放線菌が寄生虫を殺すことに効果的であることを発見しました。トゥー教授の受賞理由は「マラリアの新たな治療法の発見」です。
日本人のノーベル賞受賞は、青色発光ダイオード(LED)の開発で赤崎勇名城大学教授ら3氏が物理学賞を受賞した昨年に続き2年連続で、計23人となりました。医学生理学賞は12年に人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発で受賞した山中伸弥京都大学教授以来3年ぶりで、3人目です。
授賞式は12月10日にストックホルムで行われ、賞金総額800万クローナ(約1億1500万円)が贈られます。