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2015年10月2日(金)

シリア空爆

ロシア介入で内戦深刻化

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 過激組織IS掃討を名目とする今回のロシアによるシリアでの空爆開始は、この内戦のいっそうの深刻化、長期化をもたらす懸念があります。

 5年におよぶシリア内戦では、これまでに25万人が命を落とし、400万人以上が家を失い、国内や周辺国で難民・避難民となりました。最近は、このうち17万人以上が難民として欧州に押し寄せる事態となっています。

 シリアでは2011年のチュニジアやエジプトでの政変の影響を受け、アサド政権に対する反政府運動が盛り上がりました。しかしアサド政権の武力弾圧と反政府勢力の武装化によって長期にわたる内戦に。

 欧米などが支援する反政府勢力が分裂続きで影響力を失うなか、ペルシャ湾岸諸国などからの武器や資金を得たアルカイダ系などの過激組織が台頭。さらにイラクとシリア両国にまたがる領域を支配するISが出現し、これにクルド系組織が反撃するなど複雑な様相を示してきました。

 シリア国内のISに対しては、昨年9月以降、米主導有志連合軍が空爆を開始。最近では難民流出の原因を絶つと称して、フランスがシリアのIS拠点を空爆。今回、アラブ諸国やトルコ、欧米などが敵視するアサド政権の側に立ってロシアが軍事介入しましたが、反発したサウジなどが反政府派への軍事援助拡大を示唆しており、紛争がさらに激化するのは必至の状況です。

 9月28日の米ロ首脳会談では、プーチン・ロシア大統領が対ISでアサド政権を含む「新たな連合」を呼び掛けたのに対し、オバマ大統領は同政権を打倒すべきとの立場を譲らず、平行線に終わりました。

 ロシアは、旧ソ連圏から2000人以上がISに参加しており、それらがロシアに戻ってテロなどを起こすことを懸念しているとされています。また長年友好関係にあるシリア政権を利用し、中東地域で影響力を強めるねらいがあるともいわれています。

 シリア地中海沿岸のタルトゥス港には旧ソ連海軍の基地があり、現在でもロシア人要員が駐在。最大港湾都市ラタキアではロシアが基地建設を行っているとの情報もあります。タイムズ・オブ・イスラエル紙は、ロシアが「28機の戦闘機をシリアに配備し、2000人の要員を派遣する計画だ」と報道。対ISで、ロシアがシリア、イラン、イラクと情報協力をおこなうとの動きも報じられています。

 (カイロ=松本眞志)


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