2015年9月25日(金)
コロンビア和平交渉
特別法廷設置で合意
半年以内に妥結へ
半世紀にわたる武力紛争の終結に向けて交渉しているコロンビア政府と反政府武装集団コロンビア革命軍(FARC)は23日、交渉地であるキューバの首都ハバナで、内戦中の残虐行為を裁く法廷設置などで合意したと発表しました。交渉は最大のヤマ場を越え、妥結に向かうことがほぼ確実になりました。中南米各国のメディアは「歴史的な合意」と報じています。 (松島良尚)
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内戦中の残虐行為対象
コロンビアのサントス大統領は23日、和平交渉について、半年以内に妥結することで合意したと発表し、「コロンビアだけでなく、中南米で最後の、もっとも長い戦争への決別だ」と強調しました。
和平交渉は、キューバやノルウェーなどの協力および中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)などの支援のもと、2012年からハバナで続いてきました。今回の発表はFARC指導者同席のうえで行われました。
これまでの交渉で農業改革や麻薬密輸問題などではすでに合意が成立していましたが、今回、最終的な妥結への合意に至ったのは、最後の難関とみられていたFARC幹部らへの刑事訴追の法的枠組みでめどが付いたためです。
重大犯罪に関与していないFARCメンバーは刑事免責されますが、虐殺や戦争犯罪などへの関与は訴追され、政府関係者もその対象になります。
これらの司法プロセスをすすめるため、「平和のための特別司法権」と外国人の司法関係者も含めた特別法廷の創設が予定されています。
今後半年以内にそれらが細部も含めて具体化され、紛争終結の最終合意に至るとみられます。その後FARCは、60日以内に武器を引き渡すことになっています。
発表に立ち会ったキューバのラウル・カストロ国家評議会議長は、CELAC加盟国首脳が署名した中南米カリブ海平和地帯宣言が現実になるだろうと強調しました。
今回の合意を受け、欧州連合の駐コロンビア事務所は「歓迎」を表明。ケリー米国務長官は平和への「大きな前進だ」との祝意をサントス大統領に寄せました。
和平交渉をめぐっては、ローマ法王フランシスコもハバナで20日に開いたミサで進展への期待を示し、「平和と和解の道筋で失敗を繰り返してはならない」と述べていました。