2015年9月20日(日)
ギリシャ総選挙 きょう投票
二大政党 緊縮受け入れ一致
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【アテネ=島崎桂】財政危機下のギリシャで総選挙(一院制、定数300)が20日、投開票されます。最新の世論調査では、チプラス前首相の与党・急進左派連合(SYRIZA)と、保守系の最大野党・新民主主義党(ND)の支持率は伯仲。ただ、両党ともにチプラス氏が金融支援の条件として受け入れた過酷な緊縮政策を維持するとしており、選挙ではチプラス政権への評価が問われることになります。
SYRIZAは今年1月の前回総選挙で、欧州連合(EU)などが金融支援の条件として課した緊縮策の見直しを掲げて圧勝しましたが、その後の交渉は難航。財政破たんが現実味を帯びる中、先月、増税や年金削減を含む緊縮策の実施を条件に、最大860億ユーロ(約11兆7000億円)の新たな金融支援を受けることで合意しました。
17日公表の世論調査では、第1党を争うSYRIZAとNDがそれぞれ29%、28%の支持率で横一線。ただ、両党ともに第1党に与えられる50議席を加えても単独過半数には至らない見通しで、いずれの政党が勝利しても、選挙後には連立協議が始まるとみられます。
チプラス氏は18日、ギリシャ国会前のシンタグマ広場で開かれたSYRIZAの集会の中、「ギリシャでの左翼の勝利のため、そして欧州に希望を残すためにたたかう」と強調。集会には、ドイツ左翼党、フランス共産党、スペインの反緊縮政党「ポデモス」など、各国左翼政党の党首が応援演説を行いました。
これに対し、NDのメイマラキス党首は、SYRIZAが新たな金融支援の拒否を公約していたことを念頭に、同党の「公約違反」を追及し、NDへの支持を呼び掛けています。
欧州に向かう移民・難民が急増する中、移民排斥を掲げる極右「黄金の夜明け」への支持も高まっています。
SYRIZA、ND両党が難民対応でEU各国の協力を模索する中、「黄金の夜明け」は「外国人の受け入れ中止」を主張。一部で高まる反移民・難民感情を受け、支持率7〜8%で第3党をうかがっています。
このほか、EUからの離脱を主張するギリシャ共産党、NDと連立を組んでいた全ギリシャ社会主義運動(PASOK)、中道左派政党「ポタミ」の各党が支持率5%前後で推移。議席獲得が確実視されています。
SYRIZAによる緊縮受け入れに抗議し、同党を離脱した議員らで結成した新党「民衆統一」と、連立与党の「独立ギリシャ人」の両党は、議席獲得に必要な最低得票率3%の当落線上に位置しています。