2015年9月9日(水)
独 難民対策8000億円
施設15万人分新設・守る警官3000人増員
政府発表 審査期間も短縮
ドイツのメルケル首相は7日、中東などから殺到する難民対策として60億ユーロ(約8000億円)を拠出すると発表しました。ドイツでは、今年、昨年の4倍となる最大80万人の難民申請が出される見通し。今回の政策は難民危機と正面から向き合おうとする政策の第一歩と受け取られています。(片岡正明)
6日に行われた連立与党協議の結果として発表したもので、この案は24日に開かれる連邦政府と州政府合同協議にはかられます。
予算枠は連邦政府が30億ユーロで、30億ユーロは州・地方自治体の予算にあてます。州・地方自治体側では割り当てられる予算が少ないとすでに表明する州首相もおり、ドイツ・メディアは来年には100億ユーロに達する可能性があると指摘しています。
具体策では、難民受け入れ施設を新たに15万人分建設。難民を守るための警官を次の3年間に3000人増員します。
難民向けのドイツ語教育や公共住宅の提供も増やします。また、難民審査機関を増員し、難民審査期間を6カ月から3カ月に短縮。3カ月の難民審査が終わった難民は、公的な労働あっせん事務所のジョブセンターに登録でき、派遣労働者などで働くことが可能となります。
これまで、難民として受け入れてきたコソボ、アルバニアなど西バルカン諸国の住民については、国の政治的安定を理由に、難民申請を拒否するとしています。
一方で、与党協議では、8月31日の記者会見でメルケル首相が難民受け入れを無制限であるかのように受け取れる発言をしたことをバイエルン州に基盤を置く与党の一角、キリスト教社会同盟が批判。独週刊誌『シュピーゲル』誌によると、与党協議はハンガリーからの急増する難民を現地での登録なしで迎え入れるのは、非常事態に対する例外的な措置であることを確認。欧州連合(EU)各国が将来、難民を受け入れるのは難民条約に基づく義務であり、公正な分担を求めていくとしました。