2015年9月6日(日)
難民・移民3000人 オーストリア入国
未明の雨の中 喜び・安ど
ハンガリーから 足止め なお多数
【パリ=島崎桂】シリアなどの戦闘地域を逃れ、西欧諸国を目指す途上、ハンガリー当局により足止めを受けていた難民ら約3000人が5日未明、隣国のオーストリアに入国しました。ドイツ、オーストリア両国によるハンガリーからの難民受け入れ表明を受けたもの。ハンガリー政府は約100台のバスを使い、難民らをオーストリア国境まで移送しました。
難民受け入れに消極姿勢を示すハンガリー政府はこれまで、首都ブダペストの駅に警官隊を配備し、難民の列車移動を阻止。既に乗車した難民らを移民登録のための施設に収容するため、一部列車を停止させるなどの強硬策を実施してきました。
こうした中、約1200人の難民らは4日、オーストリアを目指し、徒歩での移動を開始。オーストリア側では、ハンガリーに自家用車で入国し、難民を迎え入れる市民の自主的な動きも広がっていました。
雨の中、オーストリアに入国した難民には多くの子どもも含まれており、一様に疲労こんぱいの様子。ボランティアから果物や水を受け取り、ほっとした様子を示したほか、一部の青年らはハンガリーからの出国に喜びをあらわにしました。
シリアの首都ダマスカスから逃れてきたモハメッドさん(26)は仏紙フィガロに対し、「ミュンヘン(ドイツ)行きの乗車券に全財産を投じたが、ハンガリー警察が乗車を妨害した。怒りのあまり、乗車券は破り捨てた」と憤りを語りました。
今回オーストリア入りした難民らの多くはドイツを最終目的地としており、オーストリア当局は今後、ドイツへの移送を行う見通しです。ただ、ハンガリーには8月だけで約5万人の移民・難民が殺到しており、その多くが行き場のないまま足止めを受けています。