2015年9月5日(土)
薬物依存症の刑一部執行猶予
医療・支援強化求める
衆院法務委で清水議員質問
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日本共産党の清水忠史議員は4日、衆院法務委員会で、来年6月までに施行される薬物事犯者への刑の一部執行猶予制度の運用について質問しました。
同制度は、違法薬物を使用した薬物依存症者らを対象に、刑期の一部を猶予して社会に出し、保護観察下で依存症の治療を受けながら社会復帰をめざすもので、2013年6月に成立しました。
清水氏は、薬物依存症者に対して国際的に処罰より治療を重視する流れにあるなか、国内でも治療や支援によって更生を促すとする同制度の目的が掲げられている一方、治療や専門的支援を行う機関が不足している問題を指摘。「現状の体制では制度の趣旨が生かされず、支援を受けられない薬物依存症者がさらに生まれる」と述べ、厚生労働省と連携した医療・支援体制の強化とともに薬物依存症に対する診療報酬の引き上げを求めました。
片岡弘法務省保護局長は、24都道府県に治療支援機関がないこと、薬物依存症者への支援を厚労省と連携して取り組むガイドラインを年内あるいは年度内に作成することを明らかにしました。厚労省障害保健福祉部長も「法務省から答弁があったとおり」と述べました。
清水氏は、同制度で出所する薬物事犯者は3年間で1万人前後と予測されていることについて、現場の保護観察官から「現状でも限界」との声が上がっていることを紹介し、職員体制の充実を求めました。
上川陽子法務相は、来年度概算要求で88人増員要求していると述べ、「必要な体制整備に全力で取り組んでいきたい」と約束しました。