2015年9月5日(土)
怒る酪農家パリに集う
トラクターデモ 価格引き上げ要求
首相、補助金4000億円決める
【パリ=島崎桂】パリで3日、酪農家や畜産業者ら約5000人が1500台以上のトラクターを運転し、牛乳、肉類価格の引き上げを求めるデモを行いました。デモを呼び掛けた団体の代表らは同日、バルス仏首相と会談。バルス氏は、酪農家らによる銀行への債務返済を1年間猶予する方針を示したほか、今後3年間で30億ユーロ(約4000億円)の補助金支出を決めました。
フランスでは近年、外国市場の縮小に伴い、牛乳や肉類の供給過多が続いています。最近では、ウクライナ問題をめぐりロシアが実施した欧州産作物の輸入禁止措置で苦境に陥る生産者が増大。仏政府は7月、生産者への6億ユーロの財政支援や、小売業者、納入業者に対する価格引き上げ要求などの支援策を発表していました。
パリでのデモには、「価格引き上げ、負担引き下げ」を合言葉に全国から集結。デモ参加者らは「私たちは死にかけている」「農民の怒りがパリに達する」などの横断幕を掲げ、補助金の増額や支援策の履行・拡充を求めました。
仏北西部ブルターニュ地方で酪農を営むジルベール・ルゴフさん(40)は仏紙ルモンドに対し、「1キロあたり300ユーロで牛乳を売っているが、生産には340ユーロかかる。誰がこんな仕事を受け入れられるのだ」と不満を語りました。