2015年9月1日(火)
米軍グアンタナモ収容所“テロ容疑者”移送計画
不当な拘束継続やめよ
英人権団体が批判
【ワシントン=島田峰隆】オバマ米政権は、キューバ東部のグアンタナモ米軍基地にある収容所に拘束中の“テロ容疑者”を一部米国内に移送する計画を検討しています。オバマ大統領が同収容所の閉鎖を公約しているためですが、人権団体は、どこであれ人権を侵害する拘束を続けるなら国際的な批判を免れないと指摘しています。
カーター米国防長官は8月20日、国防総省での記者会見で「グアンタナモ収容所の閉鎖は次期政権に残してよい課題ではない」と発言。2017年1月までのオバマ政権の任期中に解決する意欲を示しました。「引き続き拘束が必要とされる収容者」については米国内に移送したいとし、「代替となる拘束施設」を調査していることを明らかにしました。
これに対し英人権団体「レプリーブ(刑執行の猶予)」は28日の声明で「裁判もせずに容疑者を拘束することは、どこで行われようと正義とかけ離れたものだ」「もしオバマ氏が政治的遺産に傷をつけたくないなら、当初の公約を守って、これを最後に閉鎖すべきだ」と強調しました。
収容者の裁判を支援してきたニューヨーク市立大学のラムジー・カッセン教授は24日、「同じ違法行為が別の場所で行われるなら批判者は満足しないだろう」と述べました。
米政府は01年9月の同時多発テロ後、“テロ容疑者”とされる人物をグアンタナモ収容所に拘束。司法手続きなしの拘束や取り調べ中の虐待行為が明らかになり、国際的な批判を受けました。オバマ氏は09年に就任した際、1年以内に同収容所を閉鎖するとしていました。