2015年8月27日(木)
「新入社員を自衛隊派遣」 企業通じ戦地に若者
13年 防衛省が同友会に提示 辰巳議員が追及
防衛省が安倍政権下の2013年に、民間企業の新入社員を任期制の「士」として2年間自衛隊に入隊させる制度を検討していたことが判明しました。日本共産党の辰巳孝太郎議員が26日の参院安保法制特別委員会で、同省の提出資料から明らかにしました。
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資料は「長期 自衛隊インターンシップ・プログラム(企業と提携した人材確保育成プログラム)」と題された1枚文書。「企業側で新規採用者等を2年間、自衛隊に『実習生』として派遣する」と明記しています。
企業側の意思で入隊させる形になっているものの、現代版「徴兵制」ともいえる重大な内容です。任期の終了まで自衛官として勤務し、一定の資格も取得させた上で、企業に戻るとしています。
さらに文書は、「人材の相互活用を図る」企業側の利点として、「自衛隊製“体育会系”人材を毎年、一定数確保することが可能」などと強調。防衛省側の利点としては「『援護』不要の若くて有為な人材を毎年確保できる」とし、若手不足の現状を補う考えを露骨に示しています。
辰巳氏の追及に、中谷元・防衛相は、経済同友会の前原金一専務理事(当時)から「関心が示されたことを受け、13年7月に経済同友会で示したもの」と認めました。一方、「課題が多数あり、今後検討を行う予定もない」などと釈明に追われました。
辰巳氏は「企業を通じて戦地に若者を送るような制度を経営者に提案する。その発想そのものが恐ろしい」と厳しく批判しました。
「士」は自衛隊内で最下位の階級で、大きく定員割れする状況が続いています。政府は自衛官の募集で企業や自治体などと連携を強める方針で、今後同様の制度が浮上する可能性があります。
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