2015年8月23日(日)
介護労働者の最賃認める
米連邦高裁 一審の判断覆す
【ワシントン=島田峰隆】米国の首都ワシントンの連邦高等裁判所は21日、高齢者や障害者の在宅看護や介護をする労働者に連邦最低賃金を適用し、残業手当も支給するとした労働省の規定変更を支持し、規定変更は労働省の越権行為だとして認めなかった一審の判断を覆しました。
米国で働く在宅ケア労働者は約200万人。大半は女性やマイノリティー(黒人や中南米系)で、連邦最低賃金や残業手当支給の適用対象外とされ、劣悪な労働条件で働かされてきました。労働省は“公正な賃金”を目指すオバマ政権の指示に基づき、今年1月から規定を変更し、在宅ケア労働者を適用対象に含めました。
これに対し企業側が反発し、今年初めにワシントンの連邦地方裁に提訴。地裁は規定を変えられるのは連邦議会だけだとして企業側を支持し、労働省が控訴していました。
在宅ケア労働者の権利擁護を求めてきたサービス業国際労組(SEIU)のヘンリー議長は21日、「在宅ケア労働者と米国にとって重要な前進だ。彼らは今では他の多くの労働者と同様の権利を持つようになった」と高裁の判断を歓迎しました。
在宅ケア労働者らは今年4月、連邦最低賃金を時給15ドル(約1830円)に引き上げるよう求める運動と協力して、労働条件改善を求める集会を全国各地で開催。その後も各州で運動を続けていました。