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2015年8月23日(日)

日本共産党 語ろう戦争法案阻止

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 戦争法案阻止のたたかいが正念場を迎え、空前の国民運動が広がっています。日本共産党は23日から30日まで「戦争法案阻止 全国いっせい宣伝週間」に取り組みます。戦争法案の危険を多くの人たちに知らせるとともに、戦争法案阻止で国民とともにたたかう日本共産党の姿を大いに語りましょう。


「戦争法案」でない?

米国の戦争に自衛隊が参加するための法案です

 安倍首相や与党は「戦争法案では断じてない。国民の命と暮らしを守る法案だ」と言い張ります。どこまで国民をばかにするつもりでしょうか。

 今度の法案は、米国が起こすあらゆる戦争に自衛隊が参戦・軍事支援するものです。それは、法案の中身でも、自衛隊の内部文書を次々暴露し追及した日本共産党の国会論戦でも明々白々です。

 法案は、これまで「非戦闘地域」に限定していた米軍への「後方支援」=兵たん支援を「戦闘地域」にまで広げます。日本がどこからも攻撃されていないのに、集団的自衛権を発動して、米国とともに海外での武力行使に乗り出します。これが戦争法案でなくて何なのか。「戦争に行きたくない」と法案に反対する若者たちを「極端な利己的考え」(武藤貴也衆院議員)と攻撃したこと自体、戦争法案だと告白したようなものです。

 日本共産党が暴露した、陸・海・空自衛隊を束ねる統合幕僚監部作成の内部文書は驚くべき内容です。国会で戦争法案が審議中にもかかわらず、「8月中の成立・来年2月施行」を前提に新ガイドライン(日米軍事協力の指針)の実施を計画。自衛隊を「軍」と呼び、米軍との「軍軍間の調整所」設置、日米共同の作戦計画のもとに自衛隊をおいて活動させることなど、戦争法案が新ガイドラインの「実行法」であり、自衛隊を丸ごと米軍の指揮下に組み込むものであることが明らかになりました。

 「国民の命と暮らしを守る」どころか、国民・国会を無視し、憲法を日米同盟に従属させる戦後最悪の戦争法案です。

憲法違反ではない?

圧倒的憲法学者が「違憲」 「合憲」の根拠は総崩れ

 安倍首相や与党はこの期に及んでも「安保法案は合憲だ」「憲法解釈の論理的整合性と法的安定性は保たれている」と強弁していますが、その論拠は総崩れです。

 圧倒的多数の憲法学者が「安保法案は憲法違反」と声をあげ、世論調査でも5割以上がそう答えています。「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」―この戦後半世紀にわたる政府の憲法解釈を百八十度大転換し、行使容認に踏み切ったのですから、当然の批判です。

 「合憲」の根拠にあげる1959年の砂川事件最高裁判決は、憲法9条のもとで米軍駐留が認められるかどうかを争ったものです。日本の集団的自衛権などまったく争点になっていません。日本共産党の追及に横畠裕介内閣法制局長官も「(判決文は)集団的自衛権について触れていない」と認めました。

 また、「砂川判決と軌を一にする」として持ち出す1972年の政府見解は、そもそも「なぜ憲法9条が集団的自衛権の行使を禁止しているのか」との議員質問に当時の政府が文書で国会に提出したもの。見解全体が、集団的自衛権が許されない論理を明らかにしています。かつて内閣法制局長官を務めた宮崎礼壹氏も「(見解から)集団的自衛権の限定的容認の余地を読み取ろうというのは、前後の圧倒的な経緯に明らかに反する」と国会で表明しました。

 礒崎陽輔首相補佐官は「法的安定性は関係ない」と暴言を吐きましたが、これは「合憲」の根拠が総崩れに追い込まれた安倍政権の本音が出たものにほかなりません。このような暴言がまかり通るなら、憲法への信頼、立憲主義は根底から損なわれます。

「中国の脅威」どう考える?

政府も「脅威」と言えず 未来も相互依存関係

 自民党は、中国の軍事的台頭や海洋活動などをあげ、「中国脅威」論をあおり、戦争法案を押し通す口実の一つにしています。

 しかし、「中国脅威」論に根拠がないことを事実に基づいて指摘した日本共産党の国会質問に対し岸田文雄外相は「日本政府は中国を脅威とみなしてはいない」と述べ、「日中両国が戦略的互恵関係に基づいて安定的な友好関係を発展させるのは大変重要」と答えました。安倍政権さえも公式に中国を「脅威」とする根拠を示せないのです。

 中国と日本、中国と東南アジア諸国との間には、確かに領土問題や軍事力強化などの緊張・紛争があります。しかし、だからといって軍事で対抗すれば戦争につながる最悪の事態になります。尖閣問題で中国は海軍を出して領海を侵犯しているわけではありません。そこに海上自衛隊の艦船が乗り出していけば、軍事的緊張がさらに高まってしまいます。

 米政府は2月に発表した国家安全保障戦略で中国への警戒は示しつつも、「対決が不可避であることを拒否する」と表明しました。かつての米ソ対決とは違って、いまの米中関係は経済・貿易の面でも人的交流の面でも深い相互依存関係にあるからです。

 その点で日中関係も同様です。経済の相互依存度を測る指標である国際収支を比較すると、貿易総額では日米間より日中間が大きいのです。日中関係は今後も経済依存を深める傾向にあり、「将来の利害が一致する国同士が戦争するのは、世界の常識からも考えられません。

「自衛隊のリスク」は?

「非戦闘地域」の歯止めなくなり、危険格段に

 安倍首相や与党は戦争法案で「自衛隊員のリスクは高まらない」と強弁しますが、「殺し、殺される」危険が格段に高まるのがこの法案です。

 戦争法案は、従来あった「非戦闘地域」という歯止めを撤廃。自衛隊が「戦闘地域」にまで行って武力行使をしている米軍への弾薬の補給や武器の輸送など兵たん支援を広げています。

 この兵たん支援は法文上何でもありです。政府は、核兵器、毒ガス兵器、クラスター爆弾や劣化ウラン弾など非人道兵器の輸送、そうした兵器を搭載した戦闘準備中の戦闘機への給油も法文上できると国会で答弁しています。政府自ら憲法違反としてきた「他国との武力行使の一体化」そのものではありませんか。

 日本共産党が国会で明らかにした、陸上自衛隊のイラク派兵を克明に記録した内部文書では、敵に銃を連続射撃する「制圧射撃」の訓練が行われ、相手が発砲していなくても「危なかったら撃て」との指導までされていた実態が明らかとなりました。「非戦闘地域」での「人道復興支援」が建前だった活動でも「軍事作戦」が行われていたのです。それが「戦闘地域」での兵たんとなれば戦闘に発展し、「殺し、殺される」危険が高まることは火を見るより明らかです。

 安倍首相や与党は「戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定する」といいますが、とんだごまかしです。そんなことは法案には一言も書かれていません。そもそも海外での武力行使を行わない担保として、これまでの海外派兵法に規定されたのが「非戦闘地域」という枠組み。それを撤廃しておきながら「戦闘行為が見込まれない場所の指定」など、まったく矛盾しています。

現実の危険はどこに?

米国に要請されたらイラク、アフガンでも断れない

 安倍首相は「イラクやアフガニスタンのような戦争に、武力行使をもって戦闘に参加しない」と繰り返しますが、米国による戦争への自衛隊の参戦こそ戦争法案の現実的危険です。

 アフガン報復戦争は開戦から14年近くが経過しましたが、現在も戦乱は治まる気配さえ見せていません。同国では01年12月から昨年12月まで「国際治安支援部隊」(ISAF)が展開。武装勢力の掃討作戦にまで乗り出した結果、多数の民間人犠牲者を出すとともにISAF側も3500人の兵士が死亡しました。今年からは、「確固たる支援任務」(RS任務)がISAFの活動を引き継いでいます。安倍首相は国会答弁で、ISAF型の活動への参加の可能性を否定していません。

 米軍が03年3月に強行したイラク戦争と占領は、数十万もの住民を殺害したうえ、深刻な「宗派対立」を引き起こし、過激組織ISまで生み出しました。米軍主導の有志連合は現在、IS掃討を目的にイラクとシリアで空爆作戦を実施していますが、状況は「一進一退」となっています。

 安倍首相は国会審議で、RS任務やIS掃討作戦への自衛隊の参加について、「検討していない」「政策判断でやらない」といいます。しかし、いまだにアフガン戦争やイラク戦争を支持しつづけ、自衛隊を派兵したことを反省しない政府が、米側からRS任務や対IS空爆への兵たんを要請されたとき断れるでしょうか。

 山崎拓元自民党幹事長は「今度の安保法制が整備されると、私が非常に恐れることは、対イスラム(IS)に自衛隊が後方支援という体裁で動員されることだ」と指摘しています。

なぜ「共産党」と名乗るの?

資本主義を乗り越え自由で豊かな社会を展望

 「戦争法案阻止で日本共産党が一番頑張っているのはよくわかるが、『共産党』という名前がひっかかる」という人もいます。そういう方には、ぜひなぜ「共産党」という党名を名乗っているかを知ってもらいたいと思います。

 それは一言でいうと、資本主義が人類の到達した最後の社会ではなく資本主義社会を乗りこえ、だれもが自由で豊かに生きられる未来社会=社会主義・共産主義社会を展望している政党だからです。

 いまの日本は、極端なアメリカ言いなり、極端な大企業中心の社会になっています。日本共産党は、この二つのゆがみをただす民主主義的な変革をやり遂げた後、次のステップとして国民合意で未来社会に進む展望を党綱領に明記しています。

 この党名には、筋を通し、国民を決して裏切らない93年におよぶ党の歴史も刻まれています。

 日本共産党は戦前、天皇が国の全権を握る専制政治と侵略戦争に命がけでたたかいました。この国民主権と反戦平和の主張は、戦後、憲法の主権在民と恒久平和の原則となって実現しました。国民とスクラムを組む日本共産党の戦争法案のたたかいは、こうした歴史に裏打ちされたものです。

 旧ソ連は、社会主義・共産主義と縁もゆかりもない人間抑圧の体制で、他国への侵略を繰り返しました。日本共産党はこれと最も厳しく対決してきました。中国・毛沢東派の干渉ともたたかい、謝罪させました。現在の中国についても、「社会主義に到達した国」とは見ていません。どんな国の横暴も許さず自主独立の立場を貫いてきた政党です。

日本の安全はどう守るの?

外交努力で紛争解決北東アジア平和協力を提唱

 「戦争法案は反対だが、中国、北朝鮮の動向が不安」「共産党はこの地域の平和をどう考えているのか」という質問を受けます。

 たしかに北東アジアにはさまざまな緊張や紛争が存在しています。だからといって日本が軍事的に構えれば、相手はさらなる軍事で対抗し、軍事対軍事のとめどないエスカレーションという最悪の事態に陥ります。

 紛争を軍事的な手段で解決することは不可能であり、対話に基づく外交努力を追求するしかありません。しかもその可能性は現実に存在します。

 南シナ海での領土紛争をめぐり、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国は2002年に「南シナ海行動宣言」(DOC)で合意し、問題の平和解決に踏み出しました。現在は同宣言を法的拘束力をもった「南シナ海行動規範」(COC)に結実させるための努力がつづいています。

 またASEANは「東南アジア友好協力条約」(TAC)も締結し、紛争問題を平和的な話し合いで解決する枠組みを域外に広げています。

 日本共産党はこのような地域の平和協力の枠組みを北東アジアにも構築するための、「北東アジア平和協力構想」を提唱しています。

 具体的には、(1)域内の平和ルールを定めた北東アジア規模の「友好協力条約」を締結する(2)北朝鮮問題を「6カ国協議」で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させる(3)領土問題の外交的解決をめざし、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶ(4)日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は不可欠の土台となる――というものです。

 いまでは日本にとって中国は、米国をしのぐ貿易相手国となっています。もし紛争が軍事衝突に発展してしまえば、両国は“共倒れ”となってしまいます。この意味でも対話・外交による紛争の解決こそが必要です。

日米安保、自衛隊はどうするの?

安保なくし対等・平等の関係へ9条生かして平和外交を

 「戦争法案には反対だけど、日米安保条約がないと日本の平和は大変なのでは?」という声があります。しかし、この日米安保=日米同盟のもとで日本は米国の無法な戦争に巻き込まれてきたのが歴史の事実です。

 1960〜70年代のベトナム戦争で日本は米軍出撃の根拠地とされました。2001年からのアフガン戦争ではインド洋で海上自衛隊から給油を受けた軍用機が多くの民衆を殺害しました。03年からのイラク戦争では航空自衛隊が空輸した武装米兵が掃討作戦に投入されました。

 戦争法案は、この日米安保の枠組みすらはるかに超える、地球的規模での戦争同盟へ変貌させるものです。そのことは、日米軍事協力の指針(ガイドライン)を憲法の上においた自衛隊統合幕僚監部の内部文書をみても明らかです。

 日本共産党は綱領で、日米安保条約を廃棄し、それに代えて真の対等・平等に立った日米友好条約を締結することを明記しています。

 この日米安保をなくすことは、何もとっぴなことではありません。世界を覆っていた軍事同盟はこの半世紀に解散・機能停止。米国を中心とした軍事同盟は日米を含め四つしかなく、軍事同盟は「20世紀の遺物」となっています。

 日米安保条約をなくすのには、条約第10条の権利を行使し、一方が通告すれば可能です。1年後には安保条約は解消し、在日米軍もすべて撤退することになります。

 ただ、安保条約をなくした段階でも、自衛隊を一気になくすことはできません。憲法9条を生かした平和外交によって、世界のすべての国ぐにとも、対等・平等・互恵の友好関係を築く努力ともあいまって、国際環境の平和的安定の情勢が成熟します。それを背景に「自衛隊がなくても日本の安全は大丈夫」と圧倒的多数の国民の合意が成熟することを見定めたところで、憲法9条の全面実施に入るというのが日本共産党の立場です。


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