2015年8月16日(日)
安倍談話 海外メディア 厳しく批判
韓国
【ソウル=栗原千鶴】朝鮮日報15日付の社説は、安倍首相談話が村山談話にある「侵略」「植民地支配」「反省」「おわび」という言葉を引用しているものの、「他人の口を借りて反省・謝罪している印象を与えている」と批判しました。
東亜日報の同日付社説も、「(安倍首相の)歴史認識に失望とともに、怒りを感じる」と非難。ソウル新聞の同日付社説は、「慰安婦」被害者に対する真剣な謝罪を求め、「真心に欠けた態度では、パートナーとして一緒に歩むことはできない」と主張しました。
中国
【ハルビン(中国黒竜江省)=小林拓也】15日付の中国共産党機関紙・人民日報は論評を掲載し、「文脈や誠意では『村山談話』との違いが甚だしい」と非難しました。
国営新華社通信の論評は、村山談話の「おわび」の主体は「日本政府と全国民を代表する首相だった」として、安倍談話のおわびは間接的だと指摘。「そうしたやり方で世間を欺くことはできない」と批判しました。
シンガポール
【ジャカルタ=井上歩】シンガポールの英字紙ストレーツ・タイムズ(電子版)は15日、談話は安倍首相の歴史認識に対する批判と、右派的基盤の間の「微妙な線上を歩くために、入念に仕上げられたように見える」と報じ、談話は「韓国と中国の人々から適切とみなされそうにない」と指摘しました。
米国
【ワシントン=島田峰隆】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は14日、「安倍首相は第2次世界大戦中の日本の行為について自らの言葉で謝罪するには至らなかった」と伝え、「戦争に関して日本がどう責任を負うべきだと安倍氏が感じているのか、あいまいなままだった」と指摘しました。
ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は同日、「安倍首相は過去の第2次大戦の謝罪を繰り返したが、何も付け加えず」と題して報道。ワシントン・ポスト紙(電子版)も同日、「日本の指導者は第2次大戦の謝罪に至らず」と伝えました。
豪州
オーストラリア・エージ15日付は「将来の世代が謝罪を続ける必要性によって重い責任を負わせられないようにするとして、新たな謝罪を発表しなかった」と報道。安倍談話の言葉遣いは中国や韓国で重大な外交上の課題となると認識されていると指摘しました。
ドイツ
フランクフルター・アルゲマイネ紙は15日、「不信は残った」との見出しで論評し、「安倍氏は侵略については歴史家の議論に任せるとして明確な謝罪を避けた」と批判。南ドイツ新聞は、首相が直接の謝罪を避けた狙いは「歴史に対する自らの評価を変えない」ことだと指摘しました。