2015年8月11日(火)
戦争法案を廃案に
中東研究者アピール 「関係損ねる」
中東研究に携わる学者らは10日、参院で審議中の安全保障関連法案(「戦争法案」)について「平和憲法に反し、日本と中東、世界の諸国との関係を根本から損ねるものだ」として、廃案を求める「アピール」を発表しました。
「アピール」は、中東が長く欧米の植民地支配や侵略に苦しむなか、日本が武力行使しなかったことは、中東の人々の日本への友情・信頼感の基礎になってきたと指摘。その上で、「大国による軍事介入がもたらした悲劇・混乱に一切学ぶことなく、米国の戦争への協力体制を一気に拡大しようとする政策は誤っている」と強調しています。
同日、国会内で会見した呼びかけ人の一人、長沢栄治東京大学教授は、「日本に信頼を寄せる中東の人たちが、日本に裏切られたと感じることを危惧している」と批判。「アピール」発表は「中東研究者としての社会的責任だ」と表明しました。
栗田禎子千葉大学教授は、「この法案はただの法案ではなく、憲法と国民に対するクーデター」だと指摘。黒木英充東京外国語大学教授は、「(法案は)徹頭徹尾、米国のためのものだ」と批判しました。
現代イスラム研究センターの宮田律理事長は、「日本政府には米国のイラク戦争を真っ先に支持した反省もなく、法案が通れば中東での米国の戦争に際限なく付き合うことになる」と力説しました。