2015年8月2日(日)
南シナ海など焦点に議論
ASEAN 関連会合始まる
【クアラルンプール=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)の高官級の会合が1日、当地で開かれ、一連のASEAN関連会議が始まりました。4日に外相会議、6日にアジア・太平洋諸国が安全保障問題を議論するASEAN地域フォーラム(ARF)を開き、中国の人工島建設などで不安定化の懸念が高まる南シナ海問題などを議論します。
議長国マレーシアのアニファ外相は7月31日、「最近の情勢の動きは緊張を高め、関係国間の信用を傷つけた」「南シナ海の安全保障に悪影響がないように対処しなければならない」とのべ、南シナ海をめぐる動きが一連の会議で突出する問題になるとの見方を示しました。
南シナ海ではスプラトリー(南沙)諸島などをめぐって中国と一部のASEAN諸国が領有権を争います。中国は昨年以降、同諸島周辺の岩礁などで人工島の建設をすすめ、4月のASEAN首脳会議は「深刻な懸念を共有」したと表明しました。中国は人工島の施設に軍事目的があるとも表明しています。
ASEANは南シナ海の緊張の激化を防ぎ安定を維持するため、法的拘束力がある「南シナ海行動規範」(COC)を中国と締結しようと粘り強く追求。7月27日には中国の天津でCOC策定に向けた第9回高官協議が開かれ、双方は「交渉を新しい段階に進め」、草案づくりに向けて構成要素や複雑な問題の協議に入ることで合意しました。
アニファ外相はこの合意を「重要な進展だ」と評価。しかし、行動の自制を約束した2002年の「南シナ海行動宣言」(DOC)の締結から13年がたち、南シナ海情勢に動きがあるもとでASEAN諸国はCOC策定作業の遅れを懸念しており、協議や作業をさらに力強く推進したい意向です。
ロイター通信は7月31日、外交当局者の話として、南シナ海での不測の事故や事態に対応する外相間のホットライン設置で合意したと伝えました。アニファ外相は、南シナ海問題を平和的に管理していくための提案が各国から出されていると明かしており、さまざまな方策が会議で議論される見通しです。