2015年7月30日(木)
NATO トルコのIS作戦支持
軍事介入は見送り
【パリ=島崎桂】北大西洋条約機構(NATO)は28日、ブリュッセルで緊急の大使級会合を開き、過激組織ISへの軍事作戦を開始したトルコへの支持を表明しました。一方で、NATOによる軍事介入については、トルコからの要請がなかったとして見送りました。
会合は、トルコが自らの作戦を説明するために開催を要請したもの。トルコは同国南部スルチで20日に発生したIS支持者によるものとみられる自爆テロ以降、シリアのISや、イラクのクルド人勢力を標的とした軍事作戦を展開しています。
NATOは会合後の声明で、「いかなる形であれ、テロは容認も正当化もされ得ない」として、トルコへの「強固な連帯」を表明。
「国際社会はISに立ち向かうため団結しなければならない」と述べました。
ただ、NATOのストルテンベルグ事務総長は会見で、「トルコはNATOの軍事支援を求めなかった」と述べ、NATOの軍事介入を否定。トルコと米国がIS掃討作戦の一環として大筋合意したシリア北部での安全地帯設置についても、「トルコと米国の2国間の問題」であり、「NATOは関与しない」と述べました。
トルコによる対IS作戦を支持したNATOですが、今回の会合では、クルド人勢力に対する攻撃への明確な支持は避けました。トルコ政府とクルド人との和平を支持する欧州各国が、双方の対立の悪化を懸念したためとみられます。
欧州連合(EU)の欧州委員会は27日、テロに対するトルコの自衛権への支持と併せ、「クルド人との和平プロセスの維持」も求めていました。