2015年7月30日(木)
テロ対策取り組み強化を
米大統領、AU(アフリカ連合)で初演説
【ワシントン=洞口昇幸】オバマ米大統領は28日、エチオピアの首都アディスアベバのアフリカ連合(AU)本部で演説しました。オバマ氏はアフリカでのテロ対策の取り組みの強化に言及し、政治的腐敗や民主化の遅れ、人権侵害を改善・根絶することを訴えました。米大統領がAUで演説するのは初めてです。
オバマ氏は、ソマリアのアルシャバーブやナイジェリアのボコ・ハラムなどテロを繰り返すイスラム過激派勢力について、「彼らは宗教上の大義を主張するが、何億ものアフリカのイスラム教徒は、イスラム教が平和を意味することを理解している」と述べ、厳しく非難しました。
AUによる平和維持軍を含む対テロの取り組みへの支援をオバマ氏は強調。米政府は軍事訓練などの支援を行い、秋に開く予定の国連の会議で国連とAUの協力関係を進展させると述べました。
その上でオバマ氏は、テロリズムの根絶に向けて「優れた統治も最高の武器の一つだ」と指摘。「正当な不満に対処できなければ、全ての地域社会との信頼を築かなければ、法の支配を守らなければ、われわれはテロとのたたかいに決して勝てない」と訴えました。
オバマ氏は、政治的腐敗を終わらせることが「アフリカ経済の潜在力を解き放つ」とも述べました。
人権問題については、アフリカなどに依然として残る女子割礼や少女に対する強制結婚についても言及。「良い伝統ではない。われわれはそれを終わらせる必要がある」と語りました。
AU本部での演説に先立ってオバマ氏は27日、エチオピアのハイレマリアム首相や周辺国の指導者らと会談しました。エチオピアの隣国で事実上の内戦が続く南スーダンについて協議し、同国政府と反乱軍の間で和平合意を締結させることで一致しました。
オバマ氏はハイレマリアム首相との共同会見で、南スーダンについて「残念ながら状況の悪化は続いている」と指摘。8月中旬までに和平合意が成立しなければ、同国政府と反乱軍双方に制裁強化を含む圧力を加える意向を示しました。