2015年7月23日(木)
気候変動対策 「断固たる姿勢を」
各国の市長らがバチカンで会合 ローマ法王ら訴え
【パリ=島崎桂】バチカン(ローマ法王庁)で21日、世界各国の市長ら約70人が気候変動対策などを話し合う会合が開かれました。主催したフランシスコ・ローマ法王は、今年末にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)の成功に向け、国連に「断固とした姿勢」を取るよう求めました。
法王は、「(COP21で)重要な合意を得ることに大きな希望を持っている」として、「国連は気候問題に関し、断固とした姿勢を取るべきだ」と訴えました。
貧困問題を重視する法王は、先月発表した回勅の中で、気候変動に伴う自然災害が貧困層に被害を与え、新たな移民や難民を生み出すと指摘。「環境危機と社会危機の二つの危機があるのではなく、一つの複雑な環境・社会問題があるだけだ」と述べていました。
米カリフォルニア州のブラウン知事は、気候変動対策を経済活動の障害とみなす財界のロビイストを批判。「気候変動否認論者を(議員に)選ばせるため、数十億ドルを費やしている」と訴えました。
パリのイダルゴ市長は、「環境負荷の少ない経済」の導入を主張。リサイクルを徹底するなど、「生活様式を変えなければならない」と述べました。
インド南部ケララ州コチ市のトニー・チャマニー市長は、沿岸地域ではすでに海面上昇による影響を受けているとし、「今しかない。次の機会はない」と強調しました。
フランスでは同日、宗教界の代表や哲学者、アナン前国連事務総長らが参加して気候問題を話し合う「良心のサミット(首脳会議)」も開かれました。
同会合でオランド仏大統領は、「環境の危機は科学技術や経済、政治の次元だけでは解決しない」と指摘。危機の原因は「(環境への)意識の危機」にあるとして、「環境問題は地球の全住民の問題だ」と強調しました。