2015年7月14日(火)
ユーロ圏 金融支援交渉再開で合意
ギリシャ 「改革」立法化へ
【パリ=島崎桂】欧州連合(EU)のユーロ圏首脳会議は13日、ギリシャ政府が要請していた新たな金融支援をめぐり交渉開始で合意しました。12日に始まった同会議では、支援条件をめぐり各国の意向が対立。約17時間にわたった協議の結果、ようやく合意に至りました。
ギリシャのチプラス首相は、「可能な限り最良の解決策を得るためたたかってきた」として、債務の再編を勝ち取ったことを強調。「ギリシャのユーロ圏離脱は過去のものだ」と述べるとともに、支援によって同国が不況を脱出し、銀行制度の崩壊を回避できるための新たな投資が流入することに期待を表明しました。
新支援は、財政危機に陥った国に融資を行う「欧州安定メカニズム(ESM)」を活用し、債務返済に充てるというもの。EUのトゥスク大統領は合意後の会見で、「ESMのギリシャ向けプログラムが全会一致で準備できた」と訴えました。
詳しい合意内容は不明。ただしユーロ圏側は、ギリシャ支援についての交渉に入る前提条件として、ギリシャ政府が提示していた歳出削減、付加価値税(日本の消費税に相当)増税や年金制度改革など、主要な財政改革案を15日までに議会で立法化するよう求めていました。
またユーロ圏側は、債務返済のためのギリシャの国有資産売却を促すため、500億ユーロ(約7兆円)相当の資産をルクセンブルクの独立基金に委譲するよう要求。資産委譲の要求が過大だとして見直しを要求していたチプラス首相は13日、「国有資産の海外移転を回避した」と語りましたが、詳細はまだ明らかになっていません。
11、12両日に開かれたユーロ圏財務相会合(ユーログループ)では、ギリシャへの支援総額が最大で860億ユーロになると試算。ただ、会合では、EUの連帯の精神を引いてギリシャ支援に前向きなフランスと、あくまでギリシャ側の“身を切る改革”を求めて強硬姿勢をとるドイツを軸に内部対立が表面化していました。