2015年7月12日(日)
韓国 最賃8.1%上げへ
朴政権で最大幅 342万人賃上げ
労組側不満 “低い水準”
韓国の最低賃金を検討・決定する最低賃金委員会は9日未明、2016年の最低賃金を、今年の時給5580ウォン(約605円)から8・1%引き上げ、6030ウォン(約653円)にすると決定しました。朴槿恵(パク・クネ)政権発足以来、最大幅の引き上げ率。政府側は「初めて6千ウォン台に乗った」と胸を張りますが、時給1万ウォン(約1084円)を求めている労働組合側は、低い水準にとどまっていると強く反発しています。(栗原千鶴)
政府はこれにより最低賃金労働者342万人が賃上げされると推定しています。週40時間労働(有休を含む月209時間)を基準にした月給は、126万270ウォン(約13万6600円)となります。
韓国の最低賃金は全国一律。委員会は公労使の委員27人で構成され、過半数の出席と、出席者数のうち過半数の賛成が必要です。
今年の交渉で使用者側は当初、「賃上げなし」を提示していました。時給1万ウォンを主張していた労働者側は、同8400ウォン(約910円)を提案しますが、溝は埋まりませんでした。委員会は9日未明、投票を開始。労働者側は欠席しましたが、18人が出席、15人が賛成しました。
この間、韓国国内では、最低賃金引き上げの機運が高まっていました。崔Q煥(チェ・ギョンファン)副首相兼企画財政相が3月に「内需拡大をすすめるには最低賃金を急速に上げるしかない」と発言。労働組合の運動も強まり、米国での最低賃金引き上げのニュースも話題となりました。
今回の決定に、韓国労働組合総連盟(韓国労総)は「少なくとも2けた引き上げは実現すると期待していた700万人の低賃金労働者は、政府に失望と裏切りを感じている」と批判。全国民主労働組合総連盟(民主労総)は、議決後、20日間設けられている労使異議申し立て期間において、異議申し立てを行うと表明しました。