2015年7月12日(日)
戦争法案 行き詰まり焦る安倍内閣
強行なら批判爆発は必至
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15、16日にも衆院で戦争法案採決の構えを強める安倍政権と自民、公明両党。政権幹部の一人は「(採決へ向け)最終調整段階」ともらします。自民党国会対策委員会も来週半ばの「終局」を検討しています。
審議するほどに
「早期採決」を強行する姿勢ですが、背景には国民の世論と運動に厳しく追い詰められた状況があります。
審議をすればするほど「違憲」批判と疑問が拡大し、大臣答弁も混迷を深めています。衆院安保特別委の自民党委員の一人は厳しい表情を見せます。
「(採決が)本当にできるかどうかまだわからない。国民には法案の内容がまったく伝わっていない。法案の内容が詰め切れていない。大臣が説得力ある答弁ができず堂々巡りだ。無理にやれば支持率は崩れる。正直言って本当にきつい」
別の議員も「いくらなんでもやりすぎだ。これだけ大きい法案を、一度に1回の国会審議で通すのは無理だ。時間をかけても、反対している国民の気持ちは変わらない」と語ります。
他方、自民党関係者の一人は、「7月末からお盆前には終わるという、もともとの予定はくるっている。首相の外交日程がかなりあり、9月も20日すぎからは国連がある。60日ルール(衆院での再議決)どころか、9月半ばに成立させるには、すでにギリギリだ」と、早期強行の背景を語ります。
日本共産党、民主党など野党の追及に加え、圧倒的多数の憲法学者、元内閣法制局長官、そして元最高裁判事から「違憲」と断じられました。法案の正当性は完全に崩壊しています。反対世論は日増しに広がり、10日には国会前で学生らの抗議行動が1万5千人規模で行われるなど、画期的な発展を示しています。世論と運動を背景に野党共闘も前進。結束して横暴な法案採決に反対しています。
大政局の可能性
法案の正当性をますます掘り崩す「力ずく」のやり方以外に道がないという、根源的な行き詰まりに直面した状況です。
安倍首相と維新の党・橋下徹最高顧問との会食(6月14日)など、法案成立への協力を維新に求めてきたが、思い通りにならない状況もあります。別の自民党関係者の一人は、「維新に期待しすぎ振り回されて結局、時間を消費した。維新の対案では修正協議は成り立たない。維新内部も一枚岩ではなく採決協力の保証もない。執行部はしびれを切らしている」と述べます。
維新の議員の一人は、「15日採決ならとても席にはつけない。橋下氏や大阪系の維新議員も世論を気にして動けないだろう」と述べます。
数を頼みに強行すれば、批判が爆発的に広がることになります。政権を揺るがす未曽有の大政局に発展する可能性を秘めて、週明けの法案審議を迎えます。(中祖寅一)