2015年7月11日(土)
BRICS首脳会議が宣言
国際問題に積極関与
「新開発銀行」発足を確認
新興5カ国(BRICS)のブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの首脳は9日、ロシア中部ウファで首脳会議を開きました。会議は、国際政治や経済、世界の広範な諸問題について見解を盛り込んだ「ウファ宣言」を採択し閉幕しました。 (伊藤寿庸)
今回の首脳会議は、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、インドのモディ首相、ブラジルのルセフ大統領、南アフリカのズマ大統領が出席しました。「BRICSパートナーシップ―地球規模の発展の協力の要素」とのテーマで開催。参加国間の協力強化にとどまらず、国際法の尊重などグローバルな諸問題への積極的関与を表明しました。
他方で、宣言には、ロシアの違法なクリミア併合に対する欧米の経済制裁などへの批判を意味する文言も盛り込まれています。
BRICSは昨年のブラジルでの首脳会議で、上海に本部を置く「新開発銀行」の設立で合意しましたが、今回その正式発足を確認。「ウファ宣言」では、新興国と途上国が世界経済の「成長の推進力」となっていると指摘、BRICS諸国のマクロ経済政策と貿易など多角的な協力を進めるとしています。
また国際通貨基金(IMF)の投票権などの改革が米国でひきつづき批准されていないことへの「失望」を表明しています。
今年が国連創設70周年に当たることについては、「全地球的問題と多国間主義で中心的役割を担う」と評価。ブラジル、インド、南アフリカの「国連での役割強化」という表現で、常任理事国入りへの中ロの支持を再確認しました。
第2次世界大戦終結70周年については、「第2次世界大戦の結果を間違って伝えようとする試みを断固として拒否する」としています。
そのほか、国際法の適用に当たっての「二重基準」や「一部の国の利益を他国の利益の上に置くこと」などを批判。国際法違反の「一方的な軍事干渉や経済制裁を非難する」としています。
首脳会議と並行して、BRICSと、ロシア主導の国家連合を目指す「ユーラシア経済同盟」、中ロ中心の「上海協力機構」(SCO)の加盟6カ国と準加盟5カ国との首脳会合も開かれました。
10日には引き続き、中ロと中央アジア4カ国でつくるSCO首脳会議が開かれました。
新興5カ国(BRICS) ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字をとって「ブリックス」と呼ばれる新興国5カ国の協力・対話のフォーラム。参加国の合計の面積で世界の30%、人口で43%、国内総生産(GDP)で21%を占めます。今回のロシア・ウファでの首脳会議が7回目。政治、経済、金融、貿易などの多角的な協力を進めています。
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