2015年7月10日(金)
ミャンマー 総選挙11月8日
NLD「民主化へ和解を」
少数民族政党は連合体結成
ミャンマー連邦選挙管理委員会は8日、連邦議会の総選挙を11月8日に行うと発表しました。総選挙は軍政下の2010年11月以来。第1党になると予想されている国民民主連盟(NLD)は、選挙後の議会が2011年の軍政終結後の民主化をいっそう進展させるために、各政治勢力間の“和解が必要”と呼び掛けています。
前回の総選挙は、NLDがボイコットしたため、軍政後継政党の連邦団結発展党(USDP)が圧勝。11年3月に議会で選出されたテイン・セイン大統領の下で、政治囚の釈放、報道の自由化、労組の合法化などの民主化が進展しました。16の少数民族武装組織との「全土停戦協定」交渉も進んでいます。
軍が拒否権
11月の選挙後の議会は、民主化措置を前進させることや、少数民族との和平を支えるための法整備に取り組みます。
議会は次期大統領を選出します。ただ、現憲法は外国籍の子どもを持つ人物の大統領就任を禁じているため、国民的人気の高いNLDのアウン・サン・スー・チー党首は大統領になれません。
憲法改定には75%を超える議員の賛成が必要ですが、議会の25%は国軍司令官が指名する軍人議席に割り当てられているため、軍が事実上の拒否権を持っているしくみです。
現地からの報道によると、NLDのニャン・ウィン報道官は8日、「われわれが勝利すれば、他の勢力とともに新しい政府をつくる。和解が必要だ」と述べ、幅広い政治勢力に協調を呼び掛けました。
人口の40%を超える少数民族を支持基盤とする政党の活動も活発化。すでに21の少数民族政党が連合体を結成し、選挙後の議会で共同行動を取る構えです。共通の要求は少数民族地域への大幅な自治権付与です。
関係は複雑
USDPのテー・ウー書記長は「大幅な自治権付与は国の不安定化をもたらす」と否定的。NLDは自治権付与に前向きですが、ニャン・ウィン報道官が最大の少数民族政党であるシャン民族民主党について「われわれの友人ではない」と言明するなど、関係は複雑です。
連邦議会は上院(民族代表院、224議席)と下院(国民代表院、440議席)から成ります。選挙は小選挙区制。候補者登録は7月20日から8月8日まで行われます。
(面川誠)