2015年7月10日(金)
ギリシャ 3年間の金融支援要請
EUに財政改革案提出へ
【パリ=島崎桂】ギリシャ政府は8日、欧州連合(EU)に対し、3年間の新たな金融支援を正式に要請しました。同国のチプラス首相は同日、仏東部ストラスブールの欧州議会で演説し、支援条件となる財政改革案を9日中にEU側に提出することを約束しました。
欧州安定メカニズム活用
ギリシャが要請した支援は、財政危機に陥った国への金融支援を行う「欧州安定メカニズム(ESM)」を活用したもの。ESMは同日、要請内容の審査を開始しました。
ギリシャのツァカロトス財務相は要請と併せ、週明けにも財政、年金、経済分野での改革に着手すると述べました。
ESMへの要請を前に欧州議会で演説したチプラス氏は、「欧州との分断を避けるため、満足のいく妥協点を見つけたい」と述べ、協力を求めました。
また、ギリシャがこれまでに債権団から受け取った融資は、「ギリシャ国民には全く届かず、(経営危機に陥った)銀行の救済に充てられた」と指摘。「ギリシャは緊縮策の実験場となったが、その実験は失敗した」と強調しました。
欧州各国の共産党や左翼政党で構成する会派「欧州統一左翼/北欧緑左翼」の所属議員らはチプラス氏の演説中、「(緊縮策に)NO」などと書かれたプラカードを手に、ギリシャへの連帯を表明。同会派のツィンマー委員長は演説で、緊縮受け入れを拒否した5日のギリシャ国民投票を念頭に、「先の日曜日に何も起きなかったかのように振る舞うことはできない」として、投票結果を尊重するよう呼び掛けました。
フランスのバルス首相も8日、仏議会でギリシャ問題を議論する中、「空前の緊縮策で被害を受けた(ギリシャ)国民の声を聞こう」と訴えました。
ただ、ドイツ与党・キリスト教社会同盟(CSU)に所属するウェーバー欧州議員は、チプラス氏の政策に「反対し続ける」と表明。今後も、ドイツや東欧諸国を中心とした反発が続きそうです。
欧州安定メカニズム(ESM) ドイツ、フランスなどが出資して基金を創設し、財政危機に陥った欧州連合(EU)加盟国に融資して支援する仕組み。2012年に発足。