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2015年7月5日(日)

戦争法案の危険 歴史の事実で示す

“後方支援”の民間船も攻撃対象

神戸「戦没した船と海員の資料館」

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 「後方支援」=「兵たん」を行う民間船も攻撃対象になり、犠牲者が生まれる―安倍政権が今国会で成立を狙っている戦争法案の危険性を歴史の事実が示す資料館が、神戸市にあります。(兵庫県・秋定則之)


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(写真)見学者に説明をする岡村さん(右)=6月24日、神戸市中央区

 日本共産党の志位和夫委員長は、政府が「後方支援」と呼ぶ活動は国際的には武力行使と一体不可分の「兵たん」で戦争行為の一部だと、国会論戦や党首討論で、その違憲性を浮き彫りにし、安倍首相を追及しました。日米新ガイドラインでは、「中央政府及び地方公共団体の機関が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に使用」とされ、自衛隊だけでなく自治体、民間も戦争協力が求められ、米軍の起こす戦争に巻き込まれていきます。

民間船舶と船員 徴用され犠牲に

 第2次世界大戦では、武器・弾薬・燃料・兵員などを戦場へ輸送し、石油や天然資源を日本へ運ぶため、多数の民間船舶と船員が徴用され、犠牲になりました。

 神戸市中央区にある「戦没した船と海員の資料館」は、日本が東南アジア全域と太平洋地域へ侵略を進めた1941年のアジア・太平洋戦争開戦から45年の期間に、犠牲となった民間の船と海員の記録を収集し展示しています。戦没船の写真約1500枚や、写真が残っていない船の銘板が壁一面を埋め、任務や戦没地、犠牲者数を記しています。戦没船は7240隻。船員の犠牲者は6万603人、船員、乗員合わせて23万1600人に上ります。(同資料館リーフレット)

 貨物船は軍艦とは違い、船体も弱い上に武装もわずかです。十分な護衛もないまま戦場へ向かい、魚雷や爆撃で簡単に撃沈させられました。多くの船と犠牲者は引き揚げられないままになっています。

船員不足で動員 14歳987人が犠牲

 戦争が進むにつれ、徴用した船が次々と失われ、政府は「戦時標準船」規格を定め民間に船を造らせました。最後には、水に浮かんで動くものはすべて動員されました。

 船員の犠牲者も増えていき、船員の不足を補うため、「戦時特例」で養成期間を大幅に短縮しただけでなく、国民学校高等科2年(現在の中学2年生)を卒業した子どもたちを海員養成所で教育し、船員として動員しました。戦争末期の44年には、修業期限を2カ月に短縮し、わずか14歳の少年たちがベテラン船員に交じって乗船しました。乗船してすぐに撃沈され、少年987人が犠牲になりました。戦没船員6万603人のうち、20歳未満の青年は1万9046人、3割以上に上りました。

 「兵たんが、格好の軍事目標になるということは、軍事の常識」という志位委員長の指摘は、民間にもあてはまることを歴史が示しています。

 同館主任スタッフの岡村世紀一さん(74)は「戦後70年。多くの人に見て、聞いてもらい、それぞれが判断してほしい」「校外学習を引率する先生も、戦争を知らない世代です。後世のために間違いのない確かなものを残しておきたい」と語りました。


 戦没した船と海員の資料館 神戸市中央区海岸通3の1の6、全日本海員組合関西地方支部2階。入館無料。開館時間=午前10時〜午後5時(入館は4時半まで。土・日・祝日は休館)。078(331)7588

表:戦没船員・戦没船

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