2015年6月29日(月)
米無人機の操縦士 離職多く人手不足
空軍 過労、民間人殺害の恐怖…
【ワシントン=島田峰隆】オバマ米政権がテロ対策と称して世界各地で行う無人機攻撃をめぐり、米本土で無人機を遠隔操縦する空軍兵士の確保が追い付かず、空軍は作戦回数を減らすなどの見直しを迫られています。過労やストレスが原因で兵士の離職が続いているためです。
オバマ政権はイラクやシリア、アフガニスタン、ソマリアなどで無人機を使った攻撃を続けています。
240人がやめて補充180人だけ
米メディアによると、無人機の操縦士は現在約1200人います。毎年約240人が離職する一方で、訓練を終えて補充されるのは180人にすぎません。人手不足により、昼と夜の交互の勤務になったり、休暇を取りにくくなったりしています。
操縦士のかなりの人が“人手不足による過労”を理由に離職を考えているといいます。
カーター米国防長官は、今年秋までに無人機による監視飛行を1日65回から同60回へ減らす意向だと伝えられます。過激組織ISの掃討作戦を続けるなかで、国防総省の一部には1日70回以上を求める声もあるとされますが、それを大きく下回る形になります。
戦争と日常でストレス増加
離職が多い原因の一つに無人機の操縦士が抱える特別のストレスが指摘されています。操縦士は毎日、朝に基地に行って戦争に携わり、任務終了後は買い物やスポーツをするなど日常生活に戻ります。空軍幹部はニューヨーク・タイムズ紙に対し、「心理的な変化を毎日余儀なくされることが本人や家族のストレスになっている」と語ります。
軍内部の研究によると、民間人を殺害する可能性への恐怖感も原因になっています。空軍は精神科医を配置するなどの対応を余儀なくされています。