2015年6月29日(月)
リニア 事業費膨張の危険
トンネル工事難航 上越新幹線では3.5倍に
本村議員追及
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リニア新幹線は採算がとれない―。日本共産党の本村伸子議員は19日の衆院国土交通委員会で、コスト膨張の危険性を指摘しました。
86%がトンネル
「過去に建設された新幹線で、建設認可時の事業費の想定と完成までにかかった総事業費でどのくらいの食い違いがあるのか」―。本村氏の追及に、国交省の藤田耕三鉄道局長は、いずれの路線も当初額を上回り、上越新幹線の総事業費では、工事実施計画認可時点4800億円↓最終額1兆6860億円で、3・51倍に達したことを明らかにしました。(図表参照)
巨大空港や長距離鉄道など、当初価格から大幅に膨れあがった例は少なくありません。上越新幹線の場合、長大な山岳トンネル工事で、大出水事故や「山はね」(地層破壊)などの発生が工事費用を膨れ上がらせた要因の一つになっています。
本村氏は「リニアは、86%がトンネルで南アルプストンネルなど、これまでやったことのないトンネル工事も含まれ、難工事が予想される。事業費が膨れ上がるのではないか」と追及しました。
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加えて、リニア品川駅の建設工事の入札が不調となったと報道されていることを取り上げ、資材の高騰、人件費の高騰、技術職人などの労働者不足など、ゼネコンといえども従来の工事価格では受注できない、工事価格の値上がりという事態が背景にあると指摘しました。
リニア新幹線はJR東海の事業ですが、単独では採算が取れず、東海道新幹線と一元経営を行うことによって健全経営を堅持するとしています。JR東海は現在も3兆2000億円の債務を抱えています。同社はリニア建設で5兆円を超える債務を抱えることはしないとしていますが、2兆3000億円の債務で破綻した日本航空の二の舞になるとの指摘もあります。
6割が無人駅に
一方、JR東海は、国鉄分割民営化の際に想定されていた「適正利益」1%を大幅に上回る、26%もの売上経常利益率で巨額のもうけをあげています。
本村氏は、採算のとれないリニアに巨額投資する一方で、全駅の6割が無人駅で、視覚障がい者や車いす利用者の切実な願いであるホームドアをつける努力もほとんどしていないJR東海の姿勢を批判し、「リニア建設より、既存の東海道線、在来線の安全対策こそやるように指導すべきだ」と求めました。
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