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2015年6月29日(月)

主張

韓国MERS感染

日本の水際対策ぬかりないか

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 韓国での中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)コロナウイルスへの感染の広がりは、韓国社会だけでなく、日本との航空便の一部運休が決まるなど日本にも影響を及ぼしています。感染拡大への警戒と対策は、引き続き欠かせません。韓国の隣国であり、経済活動や観光などで人の交流も多い日本も、人ごとですますわけにはいきません。韓国で感染者と接触した日本人が帰国したケースも明らかになっており、感染防止の水際対策の徹底が求められています。

世界でも厳重注意を

 MERSは、2012年に中東地域で感染が確認されたことから、「中東呼吸器症候群」と呼ばれています。03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)の病原体もコロナウイルスですが、別の病気です。MERSは発熱やせき、下痢などの症状があり、高齢者や糖尿病、免疫不全の人などが感染すると重症化します。中東での致死率は4割近かったとされており警戒が必要です。

 中東ではヒトコブラクダが感染源の一つといわれますが、せきなどで人にも感染が拡大します。韓国での感染は、中東から帰国した人からの特定の病院内での感染がほとんどです。世界保健機関(WHO)は、韓国でのMERSについて「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」には当たらないとしつつ、どの国でも同様の流行が起こりうる「警告」だとして、推移を注意深く見ていくとの声明を発表しました。感染が疑われる人の隔離や人が多く集まる施設での消毒など感染拡大を防ぐ措置が取られ、最悪の事態は避けられているといわれるものの、厳重注意が求められるのは明らかです。

 MERSは、感染してから症状が出るまで時間がかかり、症状が出ない人や軽い症状の人もあるため、感染拡大の危険性は軽視できません。日本の場合、感染が疑われながら韓国国内での隔離などが行われる前に帰国した人もあり、いまのところ発症者はないとはいえ、水際対策の徹底は不可欠です。

 日本政府は空港や港湾での帰国者に対する体温などのチェックを行うとともに、感染が疑われる人には保健所などで経過を観察しているといいますが、感染を防ぐために現在の体制で十分か。検疫体制は地方空港での国際路線の増加など、出入国者の増加に追いついていません。保健所は、地域の保健所そのものが大幅に減らされています。MERS流行地の中東地域などからに加え、韓国など新たに感染が拡大した地域からの入国者に対処するためにも、政府の責任で対策の強化が求められます。

日ごろの備え怠らず

 MERSは治療のためのワクチンがまだ開発されていないので、発症が明らかになっても、対症療法しかとりようがありません。治療のためには感染拡大を防ぐ特別の施設が必要です。万一の感染拡大に備え治療の体制を整えるとともに、政府が応援してワクチンなどの開発を急ぐことも急務です。

 近年、MERSだけでなく、新型の感染症の流行が相次いでいます。地球環境との関わりも指摘されますが、正確な情報提供が不可欠です。国民も日ごろから備えを怠らず、必要な場合は手洗いやマスクの着用を心がけ、他人に感染を広げない「せきエチケット」を守るなどの対策も重要です。


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