2015年6月27日(土)
ミャンマー議会 憲法改定案を否決
軍が“拒否権”廃止拒む
大統領資格改定案も否決
ミャンマー連邦議会は25日、議席の25%を占める非民選の軍人議員団が持つ事実上の“拒否権”を無くす憲法改定案を採決しました。与党・連邦団結発展党(USDP)提出の改定案を、野党・国民民主連盟(NLD)が支持する形となりましたが、軍人議員団が全員反対したため、改定案は否決されました。 (面川誠)
軍政下の2008年に制定された現行憲法では、憲法改定には75%を超える賛成票が必要。このため、軍人議員団が一致して反対すれば、あらゆる憲法改定案を阻止できます。
今回の改定案は、憲法改定に必要な賛成票を75%から70%に引き下げる内容。投票の結果、賛成票は66・55%に達しました。このほか、大統領資格条項から“子どもの配偶者が外国市民である者は大統領になれない”との規定を削除する与党改定案も否決されました。
旧軍政の流れをひくUSDPが、議会における軍の特権の廃止を求めた今回の憲法改定案を提出した形。民主化の方向性や進展をめぐり、USDPと軍の間に溝が生まれていることが浮き彫りとなりました。USDPは採決後に声明を発表し、「改定案は国民の利益のために適切な時期に提案した。今後も国民の権利と希望を実現するために努力する」と表明しました。
一方、11年までの軍政下で非合法活動を強いられたNLDは、軍人議員の“拒否権”解消のほか、大統領資格条項から“配偶者や子どもが外国の市民でないこと”との規定を削除するよう求めてきました。この規定がある限り、子どもが英国市民のアウン・サン・スー・チーNLD党首は大統領になれないためです。
NLDは与党案を「不十分」としながらも、「この改定案に反対することは改革への意思が無いことを意味する」として、賛成に回りました。
スー・チー氏は採決後、現地記者団に対して、「希望を失う必要はない。これで国民は(11月までに予定される)総選挙に向けて、誰が改革を望んでいるのかを明確に理解しただろう」と強調。「これからは総選挙に焦点を合わせた活動に入る」と語りました。