2015年6月24日(水)
イスラエル「戦争犯罪」も
ハマスとのガザ紛争で
国連独立調査委が報告
【カイロ=松本眞志】国連人権理事会の独立調査委員会は22日、2014年7〜8月のパレスチナ・ガザ地区でのイスラエルとイスラム武装抵抗組織ハマスとの戦闘について、双方が「戦争犯罪」を行った可能性があるとの報告書を発表しました。双方による国際人道法などの「深刻な違反」を示す多くの情報を入手したとしています。
同調査委員会は声明で、「ガザでの破壊の規模と人々の苦しみは前例のないもので、次世代にも影響を及ぼす」と指摘。報告書によると、パレスチナ側の死者は2251人で、そのうち民間人は半数以上の1462人を占めます。一方イスラエル側の死者は兵士など73人でした。
報告書によると、同年7〜8月の51日間、イスラエル軍はガザ地区に対して6000回もの空爆を実施し、地上で5万発もの砲弾を撃ち込んでいます。
報告書はイスラエル側に「過剰な武器の使用」があったとし、人口密集地域で武器を使えば、民間人も無差別に殺害されうると指摘。大規模な被害が明らかになりながら、イスラエルの政治・軍事指導部が対応を変えなかったことは「国際人道法違反の可能性」があるとしています。
ハマスについて、イスラエルに向けて無差別にロケット砲を発射したのは民間人を脅迫するものだったと指摘。市民が犠牲になったとすれば、国際人道法に違反するとしています。
報告書について、イスラエルのネタニヤフ首相は22日、自衛権を行使したもので、戦争犯罪ではないと反論しました。同国は人権理が「偏見を持っている」として、調査委の入国を拒否するなど、調査に協力しませんでした。
一方ハマスは、報告書がイスラエルのパレスチナ占領を批判していることに歓迎を表明しました。