2015年6月7日(日)
債権団の条件「非現実的」
ギリシャ首相 緊縮案を拒否
【パリ=島崎桂】ギリシャのチプラス首相は5日、同国への金融支援延長をめぐり国際債権団が提示した条件について、「非現実的だ」と指摘し、取り下げを求めました。
ロイター通信によると、欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)で構成する国際債権団は3日、チプラス氏に対し、▽薬品や電気の付加価値税(日本の消費税に相当)増税▽年金額の削減▽低年金者向け手当の廃止▽医療費の国民負担分の増額―などを提案。緊縮策の見直しを掲げるチプラス政権にとっては受け入れがたい内容となっています。
チプラス氏はギリシャ議会で「このような愚かな提案を受け入れることはできない」と強調。自身が2日にEUに提示した「現実的な提案」を議論の土台とするよう求めました。
ギリシャは4日、月内に4回にわたり予定していたIMFへの債務計約16億ユーロ(約2240億円)について、今月30日に一括で支払う意向を表明。IMFも了承しました。同国は5日に予定していた3億ユーロの返済準備は終えていたとみられますが、残る返済には支援再開が必須とされています。
ギリシャで行われた最新の世論調査によると、妥協を伴っても債権団の提案受け入れに賛成する人が47%となり、反対(35%)を上回りました。チプラス氏はこれまで、付加価値税や国有企業の民営化分野で度重なる妥協を強いられてきましたが、同氏の交渉姿勢に対しては60%が「支持する」と評価しています。ギリシャのユーロ圏残留を望む人は75%でした。