2015年5月31日(日)
米が「テロ支援国家」解除
大使館再開が焦点に
経済封鎖継続で制約も
【ワシントン=島田峰隆】米政府によるキューバに対するテロ支援国家指定の解除は、両国の国交正常化や相互の大使館の再開を実現する上で、キューバ側が強く求めてきた措置です。キューバ側が「障害」だとしてきた課題が克服されたことで、国交正常化交渉に弾みがつくのは確実です。当面の焦点は、国交の回復を意味する相互の大使館再開です。
米国務省のラスキ報道部長は29日の記者会見で、次回の国交正常化交渉と大使館再開の時期について、「時間枠を示すのは難しいが、両国は毎回の交渉で距離を縮めてきている」と強調しました。
米国とキューバは今年1月から国交正常化交渉を続け、今月21、22日の両日には4回目の交渉をワシントンで行いました。大使館再開の合意はできませんでしたが、ジェイコブソン米国務次官補は「国交回復と大使館再開の合意は目前だ」とし、次回の交渉を待たずに大使館再開に合意する可能性を示しました。
交渉で最大の課題になっているのは、米外交官のキューバ国内での移動やキューバ国民との接触の自由をめぐる問題です。中国やベトナムなどでは米国大使館員は、当局から許可を得て移動するなどの制約を受けています。これと同様の措置が検討されていると伝えられます。
大使館再開が現実味を帯びる中、今月5日には米キューバ間のフェリー航路が半世紀ぶりに再開、4月下旬にはニューヨーク州知事が企業幹部とキューバを訪問するなど交流が活発化しています。
テロ支援国家指定の解除に伴い、金融取引の規制などが一部解除されます。ただ米高官はロイター通信に対し、「対キューバ経済封鎖が続くため輸出や援助に関する制約のほとんどは残る」と明らかにしています。
キューバ側は、全面的な国交正常化には、米政府が1962年から続ける対キューバ経済封鎖の解除が不可欠だとしています。