2015年5月15日(金)
電話通信記録の収集 停止
米NSA 下院が法案可決
不特定多数の入手 批判うけ
【ワシントン=島田峰隆】米下院(議席数435)は13日、米国家安全保障局(NSA)による不特定多数の電話通信記録の収集活動を終わらせ、特定の限られた条件でのみ情報入手を認める法案を賛成338、反対88で可決しました。
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「米国自由法」と名付けられた同法案によると、NSAは今後、電話通信記録を直接収集せず、データの保管は電話通信会社に任せ、必要があればその都度裁判所から許可を得てデータを入手します。その際に人物や住所などを特定することが求められ、電話通信会社の全通信記録や州や市といった広範な地域の記録をまとめて入手することはできなくなります。
政府が任命したNSAの活動見直しの委員会に携わってきた専門家はロイター通信に対し、「米国自由法の大きなニュースは大量の情報収集プログラムを制限する点にある」と説明しました。
NSAによる情報収集活動は2001年の米同時多発テロを受けて制定された愛国者法のプログラムに基づいて進められてきました。同プログラムは、議会が延長措置を取らなければ今年5月末で期限切れとなります。法案は今後上院で審議されますが、上院の共和党議員などには同プログラムの延長を求める声もあります。
NSAが国内外で不特定多数の電話通信記録を収集していたことは2013年6月、元中央情報局(CIA)職員のエドワード・スノーデン氏が暴露しました。プライバシーの侵害だとして批判が強まり、オバマ大統領は昨年3月、不特定多数を対象とした国内での収集活動は停止すると発表していました。
今月7日にはニューヨークなどを管轄する米連邦控訴裁が、NSAによる収集活動は違法との見解を示しました。