2015年5月10日(日)
「単独政権樹立する」
英総選挙 圧勝で首相表明
【ロンドン=島崎桂】7日に投開票された英総選挙(下院650議席、任期5年)の各党の議席数が8日、確定しました(別表)。第1党の保守党は、過半数の331議席を獲得。メージャー政権(1990〜97年)以来となる保守党単独政権の誕生が確実となりました。投票率は66%でした。
保守党を率いるキャメロン首相は8日、首相任命権を持つエリザベス女王との会談後、「保守党(単独)の政権を樹立する」と表明。地方分権や、英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の実施など公約実現を強調しました。
同日、組閣に着手したキャメロン氏は、増税や社会保障の削減、公的医療の民営化など緊縮政策を推進してきたオズボーン財務相の留任を決定。反緊縮派の市民は、新たな緊縮策への抗議行動を呼び掛けています。
232議席にとどまった労働党のミリバンド党首、議席の大半を失った自由民主党のクレッグ党首、1議席にとどまった英独立党(UKIP)のファラージュ党首は8日、相次いで党首辞任を表明しました。
キャメロン氏はEUをめぐる国民投票のほか、財政・内政面でのEUからの「権限奪還」や、EU域内の「移動の自由」の見直しを要求。EU残留を求める自民党の連立離脱も手伝い、今後、英国・EU間の交渉が加速するとみられます。
EUの行政府にあたる欧州委員会の報道官は8日、EU改革に向け、英国と合意を目指す意向を表明。一方で、「移動の自由はEUの根幹だ」として、「交渉の余地はない」と述べました。
このほか、スコットランドでは反保守党の急先鋒であるスコットランド民族党(SNP)が圧勝しており、昨年同様、同地の独立機運が再び高まる可能性があります。
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