2015年5月9日(土)
電気・ガス市場全面自由化
料金不透明化やめよ
消費者団体も要望
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電気事業法等改定案が衆院で審議されています。同法案は、電気・都市ガス・熱供給事業の市場を全面自由化することで10兆円を超える「総合的なエネルギー市場」を創出し、電気やガスなどこれまでの事業の垣根を越えた総合エネルギー産業づくりを目指すものです。
都市ガスと電気は大口利用者向けに小売りの部分自由化が段階的に進められ、現在では両市場とも6割以上が自由市場となっています。電力市場は地域独占の大手9社が圧倒的な支配力を有しているのに対し、ガス市場は都市ガスに従事する206社の大半が中小業者です。
問題は巨大化する市場を今後担うのは誰かという点です。
日本共産党の藤野保史議員は衆院本会議の代表質問(4月16日)でこう指摘しました。
「圧倒的な資本力をもつ電力大手、石油元売り、総合商社、外国資本などが合併・買収(M&A)を繰り広げ、競争どころか、かえって寡占化(独占)が進み、『規制なき独占』が生まれる」
国民生活や産業活動に欠かせない電力・ガス市場を巨大企業のための市場にすることは許されません。
自由化で料金メニューが「選択」できるといいます。問題はその中身です。東日本大震災以後の電気代の原価公開を求める世論の高まりを受け、電力会社の自由化部門と規制部門の部門別収支が明らかになり、家計など小口(規制部門)の利益が、大企業など大口(自由化部門)を支える構図がはっきりしました。いま必要なことは、重要な公共料金である電気・ガス料金について消費者・国民の知る権利を具体化する仕組みをつくることです。
法案は、自由化後の電気料金は市場にゆだねるべきだとして、政府の関与や公聴会など国民参加の仕組みを不要としています。これは、国民の知る権利を遠ざけ、電力・ガス料金のブラックボックス化(不透明化)をいっそう広げるものです。
衆院経済産業委員会での参考人質疑(4月28日)でも、法案の問題点を指摘する意見が出ました。
日本共産党の真島省三議員の質問に対し、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の杉本まさ子常任顧問は「自由化されても公共料金であることは変わりない。消費者が加わる委員会(公聴会)を続けてほしい」と要望。日本生活協同組合連合会の浅田克己会長は「消費者の意見を受け止める制度設計が必要」と注文をつけました。
同参考人質疑で藤野議員は、原発のコスト(費用)問題について、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)に質問。関電が政府の審議会に示した「原発停止で減った費用を料金の軽減に活用してまいりたい」と述べた資料を挙げ、原発を完全に停止した場合の電気代引き下げの可能性について国民に情報を開示するよう求めました。