2015年5月2日(土)
ネパール地震1週間
首都 遺体発見相次ぐ、農村 救援活動遅れる
【カトマンズ=安川崇】ネパールの首都カトマンズを中心に広い範囲で被害を出した地震から2日で1週間。首都でも新たな遺体の発見が相次ぎ、全国で確認された死者数は1日までに6100人に達しました。一方、被害の大きかった農村部への救援は緒に就いたばかりです。
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死者6千人超す
カトマンズでは電気の復旧とともに営業する商店が増え始めましたが、依然として半数以上がシャッターを閉じたまま。余震による家屋の倒壊を恐れて、多数が今も屋外のテント暮らしを強いられています。
被害の大きかった市北部ゴンガブ地区では4月30日も終日、軍や武装警察による捜索活動が続きました。120時間ぶりに15歳の少年が救出されるというニュースもありましたが、疲れ切った表情でがれきに座り休憩する救助隊員の姿も見られました。
建物の倒壊現場では遺体が腐敗した臭いが漂います。武装警察幹部は現地メディアに「遺体安置所は満杯以上。発見された遺体は直ちに火葬するよう要請している」と語りました。
この日、政府は地震で死亡した人がいるすべての家庭に10万ルピー(11万円)の補償金支給を決めたほか、葬儀や火葬費用として各4万ルピーを支援することを発表しました。
同日、ゴンガブ地区の5階建てアパートの倒壊現場では、住人男性9人がハンマーやのこぎりでの手作業で屋上のコンクリートを破り、毛布や衣類などの生活用品を回収していました。
「幸い、ここで死者は出なかった。しかし生活基盤は全壊。政府からは何の援助もない。自分たちでしのぐしかない」と、発電所技師のシュレシュタさん(46)はこぼします。
メディアでは農村部への救援活動の遅れが指摘されています。
首都近郊のバタセ村の男性住人は同日、地元紙の取材に「政府は村に、被害状況を調べにも来ていない」といらだちをぶつけました。村では多くの家屋が倒壊。住人はコメなどの穀物を求めて、崩れた家を手で掘っているといいます。
首都から車で3時間のシンドゥパルチョク県からはヘリによる負傷者の搬出が続いていますが、30日時点でなお3000人以上の安否が未確認。当局は犠牲者数が今後も増えるとみています。