「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2015年4月23日(木)

イエメン空爆“終了”

サウジ宣言 予断許さぬ状況

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 【カイロ=小泉大介】イエメンで反政府勢力・イスラム教シーア派系武装組織「フーシ派」への空爆を主導してきたサウジアラビア軍は21日の声明で、同作戦の終了を宣言しました。イエメン危機の政治解決に向けた動きが始まる可能性が出てきましたが、サウジ軍は22日早朝に一部地域で空爆を継続したとの報道もあり、先行きは予断を許さぬ状況です。

 9カ国からなるアラブ「連合」軍を率いるサウジ軍は声明で、「空爆作戦は目的を達成した。(フーシ派所有の)ミサイルなど重火器を破壊したことで、サウジや周辺国に対する脅威を排除できた」と表明。今後の対応として、「イエメンの安定に向けた政治プロセス」の推進に焦点を当てると説明しました。

 ただ、サウジ軍報道官は21日の会見で「連合軍はフーシ派の軍事行動を防ぐための作戦は今後も続ける」と述べ、反政府勢力の出方次第では空爆再開もあり得るとの考えを示しました。

 アラブ「連合」軍によるイエメンでの空爆は3月26日に始まり、4月21日までに2000回以上実施されました。世界保健機関(WHO)の同日の発表によれば、この間の空爆と、フーシ派とハディ政権側との戦闘による死者は少なくとも944人に、負傷者は3487人に達しました。特に空爆では20日に首都サヌア南部で一度に50人近くが死亡するなど多数の民間人が犠牲となってきました。今回のサウジ軍の宣言の背景には、悪化の一途をたどるイエメンの人道状況を憂慮する国際世論もあったとみられます。

 戦闘が激化するなか、イランはイエメン危機を打開するため、即時停戦と各政治勢力の対話にもとづく挙国一致政府の樹立を柱とする政治解決策を繰り返し訴えてきました。同国の外務省報道官は21日のサウジ軍の声明を「無実の人々の殺害が停止されたことは一歩前進だ」と評価し、政治対話の開始をあらためて求めました。

 一部のアラブ・メディアは、湾岸協力会議(GCC)加盟国のなかで唯一、空爆作戦に参加していないオマーンが、停戦と政治解決に向けたイニシアチブを発揮していると報じており、今後のさらなる動きが注目されます。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって