2015年4月6日(月)
イエメン空爆10日
赤十字が緊急停戦要求
犠牲者拡大の一途
【カイロ=小泉大介】サウジアラビアが主導する10カ国「連合」軍がイエメンの反政府勢力・イスラム教シーア派系武装組織「フーシ派」への空爆を開始してから4日で10日が経過しました。双方の攻撃は激化の一途をたどり、民間人の犠牲者増と人道的危機がすすんでいます。赤十字国際委員会(ICRC)は同日、医療支援を行うための緊急一時停戦を強くアピールしました。
10カ国「連合」軍は「フーシ派」が支配する首都サヌアをはじめ全土で空爆を強化しています。中東の衛星テレビ・アルジャジーラが住民の証言として伝えたところによると、サヌアでは4日に過去最も激しい空爆が行われ、その対象は「フーシ派」の軍事施設以外にも及んでいます。
国営サバ通信は4日、サヌア近郊の民家が前日に空爆を受け、家族9人が死亡したと報道。国連によれば、空爆と「フーシ派」による攻撃での犠牲者は2日の段階ですでに死者519人、負傷者は1700人近くに達しています。大半は民間人だとみられます。
10カ国「連合」軍による激しい空爆にもかかわらず「フーシ派」の勢いは止まっておらず、現在は政府が拠点とする第2の都市、南部アデンの支配を目指して進攻を続けています。2日には「フーシ派」が同地の大統領宮殿を一時制圧しましたが、政権側は翌日に奪還しました。「連合」軍は空爆に加えて、政権側への武器を含む支援物資の投下も実施。サウジ軍は地上部隊の派兵も辞さない構えを見せています。
この状況下、アデンの一部では住民が2日間にわたり水も電気もない生活を強いられるなどしています。負傷者に対する医療支援も危機的な状況で、ICRCは4日、「全土における激しい空爆と地上戦闘に苦しむ人々への支援を可能にするため、少なくとも24時間戦闘を停止するよう緊急に求める」と声明しました。
イエメンでは空爆開始後の混乱に乗じて国際テロ組織アルカイダ系の「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)も動きを活発化させています。2日には東部ムカラの刑務所を襲撃して同組織幹部ら約300人を脱走させ、それ以後も軍基地を攻撃し武器を奪うなどしています。