2015年4月4日(土)
米マクドナルド 9万人賃上げ
運動の成果も「不十分」の声
【ワシントン=洞口昇幸】全米各地でファストフード労働者の賃金を大幅に引き上げるよう求める運動が続く中、最大手のマクドナルドは1日、直営店の従業員約9万人の賃金を引き上げると発表しました。運動の成果だとの指摘の一方、「不十分だ」との声もすでに出ています。
発表によると、7月から各地の最低賃金より1ドル高くし、平均時給を来年中に10ドル(約1200円)超にする見通しです。
ただ賃金が引き上げられる直営店の従業員は、同社の全従業員の約10%に過ぎません。大半を占める加盟店の従業員の賃金を引き上げるかどうかは、各店主が判断するとしています。
米「経済政策研究所」(EPI)のアイゼンブレー副所長は1日の声明で、今回の賃上げを「全米規模でファストフード労働者らが生活できる賃金を求めてきた運動によるものだ」と評価。一方で、加盟店で働く90%の従業員は取り残されているとして、マクドナルドは「加盟店に賃上げを促すか、加盟店と契約する際、より高い賃金にするよう求めてもよいはずだ」と述べています。
サービス業国際労組(SEIU)は「マクドナルドで働く人たちにとって重要な一歩だが、始まりにすぎない」と指摘。最低賃金を時給15ドルに引き上げることを求めて15日に行われる世界一斉行動に参加するよう呼び掛けています。