2015年4月3日(金)
自衛隊が教育介入狙う
学校教育に「働きかけ」 「愛国・規律心」反映させる
井上議員追及 募集担当者の内部資料
自衛隊が自衛官募集担当者を集めた全体会議の場で、安定した自衛官確保のため、学校教育への「働きかけ」や、学校との「連携強化」のなかで「愛国心」「規律心」など具体的な教育内容にまで踏み込む方策を議論していたことが分かりました。
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日本共産党の井上哲士議員が2日の参院外交防衛委員会で、2013年11月に開かれた担当者会議の説明資料をもとに明らかにしました。中谷元・防衛相は資料の記述を認めた上で、「意見交換の材料として作成した。決定事項や方針、検討内容を記述したものではない」と弁明しました。
同資料には、「自衛官を職業として認識できる環境の付与」のため、防衛省が「安全保障教育の必要」を「働きかける」と明記されています。
井上氏は一部黒塗りとなった資料を示しながら、「記載のある『働きかけ』相手とは文部科学省ではないのか」と質問。中谷防衛相は「現時点で文科省に要望や働きかけを行っていることはない」と述べたものの、黒塗り部分の開示は拒否しました。
さらに資料は、自衛隊の地方協力本部や各部隊と学校が「連携強化」するとして、(1)基礎的知識の付与(2)愛国心・規律心等を教育に反映(3)自衛隊への理解促進(4)規範意識、危機管理体制の確立―の4点にわたり教育内容にまで言及しています。
井上氏は、憲法に基づく戦後教育の出発点が軍部による支配の排除にあり、知識の「付与」などの記述について上から押し付ける戦前と同じ発想だと指摘。「『意見交換』というが、自衛隊が担当者会議で教育をどう変えるか議論すること自体が重大問題だ」と述べ、検討を直ちに中止するよう求めました。中谷防衛相は「学校で外交や安全保障・防衛などを学ぶことは有意義だ」と居直りました。
解説
所管を逸脱 組織ぐるみ
自衛隊が学校教育への介入を狙って、所管を逸脱して議論を進めている恐るべき実態が判明しました。問題の会議は陸上幕僚監部の主催で開かれたもの。人事教育局、海・空の各幕僚監部、全国の方面総監部の募集担当者が参加しており、組織ぐるみであることは明らかです。
中谷元・防衛相が「教育については文部科学省の所管で、防衛省の所管外だ」と述べるように、そもそも自衛隊の募集担当者が学校教育の方向性を議論すること自体が異常です。
「総合的な学習時間の活用」の「さらなる拡大」や、「愛国心・規律心」にまで言及。問題の会議が開かれた翌月の2013年12月に、安倍内閣は「愛国心」教育の推進などを盛り込んだ国家安全保障戦略を初めて決定しました。この政府方針を決定する1カ月前から自衛隊では現場レベルの議論が始まっていたことになります。 (池田晋)
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