2015年4月1日(水)
ミャンマー 停戦草案に署名
政府と少数民族武装組織
内戦終結へ第一歩
【ハノイ=松本眞志】ミャンマー政府と少数民族武装組織の連合体「全国停戦調停チーム(NCCT)」は3月31日、ヤンゴンで第7回和平交渉を開き、「全国停戦草案」に署名しました。少数民族代表は65年にわたる「内戦を終結させる『全国停戦協定』への第一歩」と評価。一方で、北東部で激しい戦闘が続いているほか、協定内容をめぐる対立も残されています。
草案は、NCCTを構成する16の少数民族武装組織すべての承認を必要としています。調印の日程は決まっていませんが、政府と少数民族双方の代表団員はロイター通信に、4月下旬との見通しを語りました。
少数民族側交渉団の共同議長の一人は、合意について、「満足だが完全ではなく、限定的なものだ」と指摘。「全国停戦協定」締結後の政治対話の開始時期や進め方で対立があると述べました。
草案の内容は明らかになっていませんが、停戦の共同監視、和平プロセスの共同管理を含むとされます。
ミャンマーでは1948年の英国からの独立(当時はビルマ)後、ビルマ族優位の体制に抗し、民族の平等や自治権を求める少数民族が武装闘争を開始。2011年に発足したテイン・セイン政権は少数民族武装勢力と相次いで停戦合意を締結し、13年11月から全国停戦協定締結をめざして交渉してきました。
政権が停戦に前向きな理由として、欧米諸国による経済制裁を完全に解除させる狙いが指摘されています。さらに、今年後半の総選挙で与党を有利に導きたいとの思惑もあるといわれます。
全国停戦を困難にしているのが北東部シャン州コーカン地区での紛争。少数民族連合組織の一つである統一民族連邦評議会(UNFC)は、「政府軍による少数民族側への攻撃が続く限り、実効ある停戦は不可能だ」としています。
2月上旬以来、政府軍と漢民族系少数民族コーカン族武装勢力・ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)は戦闘を交え、3月中旬にはミャンマー軍機が中国領内に侵入して空爆を行うなど緊張が一気に高まりました。
MNDAAはNCCTの構成組織ですが、今回の和平交渉には直接加わっていません。