2015年3月23日(月)
NHK「日曜討論」 小池副委員長の発言
日本共産党の小池晃副委員長は22日のNHK「日曜討論スペシャル」で、いっせい地方選の争点や原発再稼働、「戦争立法」などについて各党の代表らと議論しました。
いっせい地方選にどう臨む
自治体と住民の未来がかかり、安倍暴走に審判を下す選挙――共産党を伸ばし議会のチェック機能を取り戻す
いっせい地方選について自民党の茂木敏充選対委員長は、「地方こそ成長の主役」をキャッチフレーズにたたかうと発言。民主党の玄葉光一郎選対委員長は「民主党再生のための土台となる選挙にしたい」と語りました。小池氏は次のように述べました。
小池 自治体の未来と住民の暮らしがかかった選挙です。同時に消費税増税、労働者派遣法などの雇用破壊、原発再稼働など民意に反する安倍政権に審判を下す選挙にしたい。自治体が本来の役割である住民の福祉の増進という役割を発揮し、暮らしを守る役割を発揮する、大型開発依存ではなく、地域の力を活(い)かす産業振興、防災のまちづくりも進めていきたい。多くの自治体では共産党以外が「オール与党」となっていて、首長の言うことに賛成している状況ですから、共産党の議席を増やすことでチェック機能を取り戻そうということを大いに訴え、全国で1750を超える候補者の全員当選を目指して頑張りたいと思います。
“地方創生”は活性化につながるか
地方を衰退させてきた自民党政治を暮らし応援の政治に切りかえる
安倍政権が掲げる「地方創生」について、小池氏は次のように述べました。
小池 なぜ地方が衰退したのか。自然現象ではありません。自民党政治(が原因)です。医療崩壊、介護難民を生み出し、農産物輸入自由化で地域の農林水産業や地場産業が壊れた。大型スーパーに対する規制緩和で、商店街がシャッター通りになってしまった。「平成の大合併」が住民自治を後退させています。これらの転換が必要ですが、(自民党には)反省がありません。しかも、これからやろうとしていることが、消費税の再増税やTPP(環太平洋連携協定)など、地方からお金も人も吸い上げる政策ばかりだと思います。これを転換しなければいけません。その上で私たちは、自治体が国の悪政の防波堤にならなければいけないと思っています。住民の願いを一つひとつ実現させていきたい。医療や介護の負担減、子育て支援のために子どもの医療費無料化や認可保育所を増やすなど、大型開発優先の政治から暮らし応援の政策に切り替えることで自治体が防波堤になって住民の暮らしと経済を守るために頑張りたい。
維新の党の柿沢未途政調会長は、大阪市を解体する「都」構想の推進を表明しました。
「アベノミクス」で地方の景気回復は
大企業の内部留保を下請け・労働者に回し雇用を回復することが決定打
番組では、安倍政権の経済政策「アベノミクス」について「景気回復は大企業など一部の話だ」「物価が上がり、家計は苦しくなっている」などの視聴者の声を紹介。茂木氏は「とても率直だった」と述べ、今年は連合の集計結果で2・43%の賃上げになっていると主張しました。
小池 先ほど茂木さんが2・43%の賃上げとおっしゃいましたが、3%の(消費税)増税にも届いていません。トヨタが4千円の賃上げだという資料が先ほど出ましたが、調べてみると総額が(一時金も含めて)50億円くらいです。トヨタは史上最高で1兆円の利益を上げ、9兆円の内部留保があります。2千分の1です。大企業はもっと体力があるはずです。帝国データバンクによると、トヨタの下請けが2万9千社あり、その7割で売り上げがまだ回復していません。労働者や中小企業に回っていません。ここがカギだと思います。大企業の利益の大半が株の配当などに回っているわけですから、それを下請け企業や納入業者に回す、労働者に賃金として回す、雇用を立て直すということが決定打です。“この道しかない”という言葉はこういうことに使うのだと思います。これを本気でやる政治が求められていると私は思います。
地方への権限・財源移譲
地方の土台―農業・漁業・地場産業―にお金がおりる仕組みと一体の政策を
小池氏は、地方経済を疲弊させてきた自民党政治を次のように批判しました。
小池 地方自治は憲法の大原則です。しかし、「地方分権」だ、「三位一体」だ、「地方創生」だとずっとやっていますが、どんどん悪くなっているではありませんか。何に原因があるかをちゃんと見なければいけない。地方の経済の土台である農業・漁業・地場産業が弱っています。そこにちゃんとお金がおりるような仕組みと一体でやらなければいけません。自主性を拡大することが大事ですが、それを壊すような政治を一方でやっておいて「地方創生」だと言っても、それはうまくいかない。地方の経済を疲弊させてきたということを自民党は反省した上で政策を打ち出さないといけないのではないかと思います。
再稼働・廃炉 どうする原発政策
再稼働は絶対反対、廃炉を決断してこそ再生可能エネも広がる――「福島」に寄り添いゼロへ
原発再稼働が議論となり、自民・茂木氏は「基準に合格化したものは再稼働する」と強調。化石燃料への依存度が危機的に高くなり、電気料金も上がっていると述べ、現実的にバランスをとる「ベストミックス」をつくるのが重要だと主張しました。民主・玄葉氏も「2030年代に原発ゼロ」を目指すとしながら、「再稼働は絶対駄目だといっているわけではない」と述べました。小池氏は次のように発言しました。
小池 再稼働の問題で規制基準があるとおっしゃるけれど、政府がいくら「安全」だと言っても、世論調査では政府が「安全」という原発にも再稼働反対が多数です。なぜこれが信用されないかというと、事故原因だって究明されていませんし、完全にブロックされていたという汚染水は流出している。こういう電力会社や政府を信用できないというのは当たり前です。原発が全て停止していても電力不足は起こっていません。電力料金が上がるから原発を動かしてくれという国民の世論はありますか。私は、原発を再稼働せずにこのまま廃炉にすることが一番現実的で責任ある道だと思いますし、それを決断してこそ再生可能エネルギーも広がります。原点は福島です。いまだに12万人の人が避難しています。半分近くの人は家族がバラバラです。この原点に寄り添って、原発ゼロという決断をすべきです。再稼働は絶対に反対です。
安全保障法制 後方支援
いつでもどこでもどんな戦争にも出ていける戦争立法は許されない
自民・公明が20日に合意した「戦争立法」の方向性について、外国軍への後方支援の問題が議論となりました。「必ずしも歯止めが得られなかったという評価が多かったが」と司会者から振られた公明・斉藤鉄夫選対委員長は「憲法9条の枠を超えたことには歯止めをかける考えで臨んだ」と述べました。自民・茂木氏は「安全保障環境が大きく変化し、一国では自国の安全・安心を守りきれない。それに対応した法整備が必要だ」と語りました。
小池 「切れ目なく、隙間なく」と言いますが、結局は米軍支援を歯止めなくやっていくということになります。「戦闘地域」と言われていた所でも軍事支援をするというわけですから、自衛隊員が殺し殺される可能性が高まることは間違いない。与党合意では、国連が統括しない活動にも参加し、任務遂行のための武器使用も検討する。こうなってくると、イラク多国籍軍やアフガンの国際治安支援部隊にも参加する道は開かれます。しかも首相は、アメリカによる先制攻撃の場合であっても、新3要件に該当すれば集団的自衛権を行使するのかと聞かれて否定しなかった。結局、「周辺事態」という名前もやめて地理的限定のない海外派兵恒久法にすれば、いつでもどこでもどんな戦争でも出て行ける枠組みになってしまいます。これはまさに「戦争立法」です。先ほど「歯止めは憲法9条」だとおっしゃいましたが、歴代自民党政権が憲法9条でできないと言ったことをやるなど、明らかに違憲です。違憲立法の(国会)提出は許されないと思います。地方選挙は地方政治の問題が問われる選挙ですが、「戦争する国」にしていいのかという問題を正面から訴えていきたいと思っています。
これまでの政府答弁と照らしても全く歯止めがなくなる
公明・斉藤氏は後方支援について、与党合意で「我が国の防衛に資する活動」を行っている他国軍隊の後方支援だと明確化したと弁明。自民・茂木氏も同様の主張をしました。
小池 先ほどから「日本の安全に関わる問題だ」と公明党はおっしゃいますが、なぜ「周辺事態」という名前をなくしてしまうのですか。地理的概念ではなかったとは言ってきましたが、国会の答弁では中東などは「想定されていない」ということを言っていたではありませんか。こういったことを外してしまえば、それこそ(中東)ホルムズ海峡へとなっていくわけで、それも含めて「日本の安全」だと言えるんですか。これでは、全く歯止めがなくなります。今まで政府が国会で答弁してきたことに照らしても全く違う。
これに対して公明・斉藤氏は「日本を守るために行動している米軍の武器が攻撃されたときに、その武器を守るということに今回は拡大した。しかし、あくまでも憲法9条の枠内の話だ。日本を守っている米軍の武器さえ守れなくて、日本が日本を守ることができるのか」と反論しました。小池氏は次のように批判しました。
小池 外国から見たら、他国軍と一体の行動です。(外国領土での)武器・弾薬の輸送は憲法違反の疑いがあると公明党は以前に言っておられたじゃないですか。そういったことに踏み込むことをやっていいのかということが問われているのです。憲法に照らしたって外国から見たって異常です。