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2015年3月23日(月)

欧州 テロ対策強化で議論

国境管理やネット規制 国民の自由制限の恐れ

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 【パリ=島崎桂】欧州でテロ対策を目的とした国境管理の強化やインターネット規制が進んでいます。イラクとシリアを拠点とする過激組織ISなどへの参加や帰国の阻止に加え、過激思想の流入・拡大の防止が狙いですが、一部では、これらの措置が国民の自由を制限するとの懸念も出ています。


 欧州連合(EU)は12日、内相会議を開き、今年6月をめどに、EUから域外への出国者や域外からの入国者に対する審査の強化を決定。審査は、治安当局などが作成する「共通危険指標」に基づいて行います。同指標の詳細は明らかにされていませんが、各国が保有する要注意人物リストに照らして、イラクやシリアへの渡航経験者、過激組織での戦闘経験者などを特定するものとみられます。

 今年1月に連続テロ事件が発生したフランスのカズヌーブ内相は会議後、「欧州でのテロの危険性は今なお極めて高い」と述べ、国境管理のいっそうの強化を要求。仏政府はテロ事件以降、全渡航者への審査の義務化に加え、航空便利用者の氏名、連絡先、滞在先などを含む個人情報を収集したリストの作成を求めています。

 こうした措置の実施に対しては各国間に温度差もあります。多くの人員やコストが見込まれることに加え、搭乗者情報の収集はプライバシーの観点からとりわけ問題も多いためです。欧州規模でのテロ対策案を審議する欧州議会内には、根強い反対意見があります。EUは今後、同リストの保管期限や利用権限を厳格に規定した上で、年末までに具体化する予定です。

 並行して進んでいるのが、テロ対策を目的としたインターネット規制です。ISはインターネットによる宣伝や洗脳を通じて欧州の若者らを勧誘しており、各国政府は過激思想の流入・拡大を懸念しています。

 フランスでは16日、今月6日に施行された反テロ法に基づき、ISの報道組織「アルハヤト・メディア・センター」を含む五つのインターネットサイトを「テロ称賛」の疑いで閉鎖しました。

 ただ、同法に基づく閉鎖の決定は内務省に一任されており、人権問題を担う仏政府の諮問機関からは、「司法による裏付けが必要だ」として、手続きに関する懸念も出ています。同法の運用次第では表現の自由の制限との批判も招きかねず、テロ対策と国民の自由をどう両立させるかが問われることになりそうです。


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