2015年3月21日(土)
過激組織ISが犯行声明
テロ根絶求める市民ら
チュニジア 容疑者9人逮捕
【カイロ=小泉大介】イラクとシリアを拠点とする過激組織ISは19日、チュニジアの首都チュニスで前日に発生した博物館襲撃テロについて犯行声明を出しました。ISはこの間、北アフリカのリビアやエジプトで勢力と影響力を拡大してきましたが、同地域で比較的治安が安定しているとされるチュニジアにも進出しようとしているもようです。
ISは同日、インターネットに投稿した音声で「自動小銃と手りゅう弾で武装したISの2人の騎士が博物館を標的にした」と表明。さらに「人々が目撃していることは始まりにすぎない」とさらなる攻撃を示唆しました。
ISの犯行声明に先立ってチュニジアのカイドセブシ大統領は、射殺された2人の実行犯がリビア東部を拠点とする過激組織「アンサール・シャリア」と関係しているとの見方を示しました。同組織はもともと国際テロ組織アルカイダ系とされますが、最近では一部がISへの忠誠を表明しており、今回、ISと連携して事件を起こした可能性もあります。
チュニジアでは若者ら数千人がISの戦闘に参加するためイラクやシリアに渡航し、そのうち500人がすでに帰国しているとの報道があります。
チュニジア大統領府は19日、治安当局が博物館襲撃事件の容疑者として、実行部隊と協力者合わせて9人を逮捕したと発表しました。捜査当局は今後、国際的な協力も得ながら事件の背後関係や動機解明に向けて全力を挙げる構えです。
カイドセブシ大統領は「テロとは容赦なくたたかう」と表明しますが、政府が過剰で強硬な手段にうって出るようなことがあれば、過激派勢力を刺激する危険もあります。
襲撃事件のあったバルドー博物館には同日、約500人の市民が集まり、犠牲者に黙とうし、花をたむけました。国旗を振りながら、「テロを根絶しよう」などの声を次々と上げました。
最新のチュニジア政府発表によると、襲撃では、日本人3人を含む外国人18人とチュニジア人3人が死亡、約50人が負傷しました。