2015年3月20日(金)
チュニジア テロ事件
政治混乱続き 過激派台頭
【カイロ=小泉大介】チュニジアの首都チュニスで18日に発生した武装グループによる博物館襲撃事件は、外国人を狙ったものとしては同国の歴史上最悪の規模の犠牲者を出す惨事となりました。武装グループの正体は不明ですが、チュニジアから数千人が、イラクとシリアを拠点とする過激組織ISに加わったと指摘されるような状況が生まれていました。
チュニジアでは2011年初めの「革命」でベンアリ独裁体制が崩壊しました。その後、イスラム主義勢力と世俗・リベラル派との激しい対立が発生しましたが、昨年の選挙で議会と大統領が選出され、今年2月には世俗派中心の正式政府が発足しました。
ISに3000人渡航報道も
ただ、約3年におよんだ政治的混乱と経済の停滞のなかで「イスラム過激派勢力」が台頭。昨年、チュニジア人3000人がISの戦闘に参加するため渡航したとメディアが報じたことは、国民に衝撃を与えるとともに、帰国した過激派が自国でテロ攻撃に走るのではないかとの懸念が高まっていました。
さらに隣国リビアで、ここ数カ月の間にISが急速に勢力を拡大しテロ攻撃を繰り返すなど、北アフリカ地域の治安情勢も悪化の一途をたどる中での今回の事件発生となりました。
「治安の改善と経済の回復」を最大の課題に掲げるチュニジア政府は18日の博物館襲撃事件後、相次いで国民にメッセージを発信。カイドセブシ大統領は銃撃事件を「恐るべき犯罪だ」と糾弾し、「国民には、われわれがテロとのたたかいの中にあるということを理解してもらいたい」「テロリストとは慈悲なくたたかっていく」と表明しました。
市民数千人デモで意志
シド首相は18日の声明で、チュニジアの主要産業である観光業への打撃が避けられなくなっていることを念頭に、「チュニジア経済の破壊を目的とした攻撃に対し、全国民が団結しなければならない」と訴えました。
「革命」の主要舞台となった首都中心部のブルギバ通りでは同日夜、市民数千人が国旗を掲げながらデモを行い、テロに屈しない意志を示しました。