2015年3月13日(金)
戦争 白紙委任しない
米の対IS武力承認決議案 反発
上院公聴会 与党議員の多数
【ワシントン=島田峰隆】米上院外交委員会は11日、オバマ大統領がこのほど提示した過激組織ISに対する米軍の武力行使を承認する決議案について公聴会を開きました。証言した政権幹部は超党派の協力で採択するよう求めましたが、与党民主党の議員の多くが決議案の曖昧さに懸念を示しました。
決議案は有効期間を3年とし、ISに対する限定的な地上作戦を認める内容です。武力行使に地理的な制約を設けず、対象に「ISの関連勢力」を含めています。
ケリー国務長官は「決議案はISに対して米国が結束した力強い声を上げる手段になる」と強調しました。カーター国防長官は「対IS作戦は3年で終わる保証はない」と発言。ナイジェリアの過激組織ボコ・ハラムがISに忠誠を誓ったことに関し、「米国民に脅威を与える意図を持つならそうしたグループも決議案の対象になる」と語り、ボコ・ハラムへの軍事作戦も排除しない姿勢を示しました。
これに対し民主党のメネンデス議員は「民主党が望まないのは大統領に戦争の白紙委任を与えることだ」「どういう行為が認められるのか正確な定義が必要だ」と指摘。同党のクーンズ議員もイラクとアフガニスタンの戦争で膨大な戦費が生じたことを挙げ「もう戦争の白紙委任状は書けない。それこそが財政上だけでなく道徳上も責任ある態度だ」と述べました。
一方、野党共和党の議員は「ISが他の地域のグループに浸透しているが、この決議案で対処戦略を持てるのか」(ルビオ議員)など、有効期間などの制約をなくすよう求めました。
外交委員会は今後も公聴会を開く意向ですが、与野党の意見の対立が大きいことから、米メディアは決議案が可決されない可能性もあるとしています。